示指伸筋

示指伸筋は、前腕の深層に位置する筋で、以下の特徴があります:

示指伸筋は変異の多い筋肉として知られており、以下のような変異が報告されています:

また、示指伸筋の欠損は1〜3%の頻度で見られ、その場合に短指伸筋が出現する割合が高いとされています。

比較解剖学的には、示指伸筋は総指伸筋の深層にある固有伸筋層の一部です。ヒトでは、この層に第1指(母指)への長母指伸筋、第2指(示指)への示指伸筋、第5指(小指)への小指伸筋が相当します。

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J0180 (右側の橈骨:背側からの図)

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J0184 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手の裏側からの図)

日本人のからだ(本間敏彦 2000)によると

示指伸筋は深層の伸筋群の遠位内側に位置し、尺骨(背側筋膜の遠心側1/3)だけから発生します。その腱は総指伸筋の腱と共に第4腱区画を通過し、示指の指背腱膜に付着します。示指伸筋は長母指伸筋起始部の下方から尺骨下部に起始し、第2指腱の指背腱膜に移行します。多くの霊長類ではこの筋と並んで固有第3指伸筋を持つ種が多いです。

比較解剖学的には、総指伸筋の深層には別の層があり、各指に固有の伸筋が存在します。ヒトでは第1指への長母指伸筋、第2指への示指伸筋、第5指への小指伸筋がこの固有伸筋層に相当し、第3指、第4指への固有伸筋は欠損しています。これが一因となり、示指伸筋は変異の多い筋となります(吉田,1978; Yoshida, 1990)。

変異型としては、筋腹が二部に分かれ、第2指と第3指に腱を出す例、腱だけが2部に分割し、第2指と第3指に行く例、二部に分かれた腱のうち1本が第2指と第3指に跨って停止する例があります(吉田,1978; 小杉ら.1984 a; Yoshida, 1990)。示指伸筋が欠損する例は1-3%に見られ、その場合、短指伸筋が現れる割合が多いと報告されています。