長掌筋

長掌筋は前腕の筋の一つです。主な特徴は以下の通りです:

長掌筋には以下のような特徴や変異が見られます:

この筋は手首の屈曲や手掌腱膜の緊張に関与しますが、欠如しても手の機能にはほとんど影響がないとされています。

J175.png

J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

日本人のからだ(本間敏彦 2000)によると

長掌筋は橈側手根屈筋と尺側手根屈筋の間に位置します。筋腹は短く、それが長い腱となります。この腱は橈側手根屈筋の腱の内側を手掌方向へ下り、浅層の屈筋に進みます。手を曲げると、この腱は皮膚から観察できる屈筋支帯の上を通ります。その後、腱は手掌腱膜に移行し、広がります。長掌筋は発育しないことがあり(約20%)、または2つの頭部または2つの筋肉が発育することもあります。長掌筋は、上腕骨の内側上顆から起始し、前腕の浅層を下って手掌腱膜に移行する小さな筋です。

この筋には変異が多く、欠如(3-5%)、弱小(3%)、重複、遠位筋腹(3%)、中間位筋腹(2%)、腱分裂(3.7%)などが報告されています。また、欠損率は人種により異なり、白人では20%前後、黒人と日本人では4%前後となっています。これについては多くの研究報告があります(Adachi, 1909/1910; 井上,1934; 武田ら,1955 a; Hojo, 1976; 高藤ら,1984)。長掌筋が欠如しても、手掌腱膜は存在します。この場合、手掌腱膜は屈筋支帯、浅指屈筋腱、橈側手根屈筋腱などと連結することが知られています(江口・島,1959; 竹内・野田,1961)。