上腕筋

上腕筋は、上腕の前面に位置する筋です。主な特徴は以下の通りです:

上腕筋は周囲の筋(特に上腕二頭筋、烏口腕筋、腕橈骨筋)と結合することがあり、様々な変異が報告されています。また、上腕骨に直接接触するため、骨折時に損傷を受けやすい筋でもあります。

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J0175 (右上腕骨とその筋の起こる所と着く所:前方からの図)

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J0176 (右上腕骨と筋の起こる所と着く所:後方からの図)

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J0183 (右前腕骨:筋の起こる所と着く所:回外位の手掌側からの図)

日本人のからだ(本間敏彦 2000)によると

上腕筋は上腕骨の前面から始まり、尺骨粗面で強い腱として終わります。筋肉部分は外側と内側、または浅層と深層に分けられ、それぞれの部位の神経支配が問題となることがあります。上腕筋は周囲の筋肉の筋線維と結合することがあり、特に上腕二頭筋が第3頭、第4頭を持つ場合、過剰な頭部や筋肉部分が上腕筋と結合する例が報告されています(町田、1961 a)。また、上腕筋の内側起始部と烏口腕筋の停止部の結合、上腕筋の外側部と腕橈骨筋との一部結合も報告されています(町田、1961 a)。上腕骨に直接接触するため、圧力がかかると骨折する可能性があります。特に、顆上過伸展骨折の際には、骨折部位が筋組織を貫通し、簡単に損傷する可能性があります。損傷した筋肉部分が結合組織の瘢痕を形成し、収縮すると、上腕筋が短縮する可能性があります。これにより、腕が肘関節を伸ばせなくなることがあります。上腕筋は主に筋皮神経によって支配されますが、多くの場合、橈骨神経も分布しており、二重神経支配を受けるとされています(図38表41) (大内・河西, 1953; 町田, 1961 a)。さらに、橈骨神経に加えて正中神経からの神経が分布し、三重神経支配を受ける例が32%も存在します。一方、筋皮神経のみに支配される例はわずか6%(3/50側)でした(町田, 1961 a)。大内・河西(1953)および河西・平井(1959)による詳細な神経分布の研究によれば、上腕筋は尺側の筋束、それに続く橈側深層の筋束、掌側中央の筋束、橈側の筋束の4つの部位に分かれています。筋皮神経はこれら4つの部位全てに分布しますが、橈骨神経は橈側の筋束および橈側深層の筋束に分布します。また、筋皮神経と橈骨神経の筋内での交通は常に観察されます(図39)。

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