棘上筋膜 Fascia supraspinata

J0449 (広い背中の筋(第2層):背面図)

J0468 (右上腕の筋:背面図)
解剖学的構造
棘上筋膜は肩甲帯における重要な結合組織構造であり、棘上筋を包む強靭な筋膜鞘を形成しています。この筋膜は肩甲骨の棘上窩内に位置し、棘上筋の機能的効率と保護に寄与しています(Standring, 2020)。
付着部位と連続性:
- 内側縁:肩甲骨の棘上窩の骨縁に強固に付着し、筋膜と骨膜の間に密接な結合を形成しています(Moore et al., 2018)。
- 外側縁:肩峰および肩甲棘に連続し、肩峰下滑液包の上壁を形成する三角筋下筋膜と連絡しています(Benjamin, 2009)。
- 上層:僧帽筋の深筋膜と連続し、頸部筋膜系との連続性を示します(Stecco et al., 2011)。
- 下層:棘上筋の筋周膜(epimysium)と密着し、筋束を包む筋内膜系と連続しています(Purslow, 2010)。
組織学的特徴:
棘上筋膜は主に密性規則的結合組織で構成され、コラーゲン線維(主にI型コラーゲン)が規則的に配列しています。この構造により、筋収縮時の張力を効率的に伝達することができます(Stecco et al., 2011)。筋膜内には以下の組織要素が含まれています:
- 線維芽細胞:筋膜の維持と修復に関与します(Hinz, 2007)。
- 神経終末:固有受容感覚器(パチニ小体、ルフィニ小体)が分布し、位置覚と運動制御に寄与します(Stecco et al., 2007)。
- 血管網:筋膜への栄養供給と老廃物の除去を担います(Benjamin, 2009)。
- ヒアルロン酸:筋膜層間の滑走性を高め、摩擦を減少させます(Stecco et al., 2011)。
筋膜の連続性:
棘上筋膜は肩甲骨周辺の筋膜システムの一部を構成し、以下の構造と連続性を持ちます:
- 棘下筋膜:肩甲棘を介して棘下筋膜と連続し、肩甲骨後面の筋膜システムを形成します(Moore et al., 2018)。
- 頸部筋膜:僧帽筋筋膜を介して深頸筋膜と連続し、頸肩部の筋膜連鎖を形成します(Stecco et al., 2014)。
- 背部筋膜:広背筋筋膜および胸腰筋膜と連続性を持ち、体幹と上肢の運動連鎖に寄与します(Willard et al., 2012)。