帽状腱膜 Galea aponeurotica
帽状腱膜は、頭蓋冠を覆う重要な解剖学的構造で、以下の特徴と臨床的意義を持っています(Gray, 2020; Standring, 2021):

J0405 (頭部の浅層筋:少し右側からの図)

J0406 (頭部浅層の筋:腹側図)

J0415 (右側の頭頚部の筋:後方からの図)
解剖学的特徴
- 頭皮の深層に位置する強靭な線維性結合組織で、厚さ約0.5〜1.0mmの広範なシート状構造を形成しています(Standring, 2021)
- 前方では前頭筋腹に、後方では後頭筋腹に連続し、頭蓋表筋(後頭前頭筋)の筋腹間を連結する腱膜として機能します(Moore et al., 2018)
- 側方では側頭筋膜の上縁と結合し、側頭頭頂腱膜とともに頭骨外被(epicranium)を形成します
- 下層の疎性結合組織(頭蓋上膜)を介して骨膜(頭蓋骨膜)と緩く結合しています(Netter, 2019)
血管・神経支配
- 浅側頭動脈、後頭動脈、眼窩上動脈からの分枝によって栄養されています(Drake et al., 2020)
- 三叉神経(眼窩上神経、耳介側頭神経)と後頭神経によって感覚支配されています(Snell, 2019)
臨床的意義
- 頭皮外傷:帽状腱膜は頭皮裂傷の深さを評価する重要な指標となり、腱膜を超える裂傷は縫合が必要です(Johnson and Hollier, 2022)
- 皮弁形成術:帽状腱膜は頭皮皮弁の安定性と血液供給を確保するために温存されます(Neligan, 2021)
- 頭蓋骨手術:神経外科手術において、帽状腱膜は皮膚切開の重要な層です(Greenberg, 2019)
- 頭皮の剥離性外傷:事故による外力で帽状腱膜が頭蓋骨から剥離することがあります(Hollier et al., 2018)
- 帽状腱膜下血腫:頭部外傷後に帽状腱膜と骨膜の間に血液が貯留することがあります(Tubbs et al., 2022)
この構造は解剖学的に重要で、頭部外科手術における重要な指標となるほか、頭皮の運動や表情筋の作用にも関与しています。また、頭部感染症の経路としても臨床的に重要です(Brennan, 2020)。
参考文献
- Brennan, P.A. (2020) British Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, 58(5), pp.578-583. — 頭頸部感染症の経路としての帽状腱膜の役割について論じた研究