寛骨臼横靱帯 Ligamentum transversum acetabuli

J0328 (恥骨結合および右骨盤半分とその靱帯:前下方からの図)

J0333 (右の股関節:内側からの図)

J0334 (右の股関節:前面切断図、前方からの後部切断図)
解剖学的特徴
位置と付着部:
- 寛骨臼切痕(incisura acetabuli)を橋渡しするように横走する強靱な線維性索状構造です(Gray et al., 2020)。
- 寛骨臼切痕の両端、すなわち前縁と後縁に付着し、切痕の下縁を閉鎖します(Netter, 2019)。
- この靱帯により、寛骨臼切痕の下方に小孔が形成され、血管や神経の通路となります(Moore et al., 2018)。
構造と組織学的特性:
- 密性結合組織から成る強靱な線維束で構成されています(Standring, 2021)。
- 関節唇(labrum acetabulare)の下部と連続しており、構造的には関節唇の一部を形成します(Ferguson et al., 2003)。
- しかし、関節唇とは異なり線維軟骨を含まず、主に膠原線維から成ります(Seldes et al., 2001)。
- 関節腔内の滑膜に覆われていない部分もあります。
機能的役割:
- 寛骨臼の輪郭を完成させ、実質的に寛骨臼を完全な環状構造に変換します(Kapandji, 2019)。
- 関節唇と共に寛骨臼を深化させることで、大腿骨頭の被覆率を高め、股関節の安定性を向上させます(Crawford et al., 2007)。
- 大腿骨頭の約40%を覆う寛骨臼において、この靱帯により実効的な被覆率がさらに増加します(Leunig et al., 2004)。
血管・神経の通過
寛骨臼窩への通路:
- 寛骨臼横靱帯の下方(深部)を通って、寛骨臼動脈(arteria acetabuli)が寛骨臼窩へ進入します(Moore et al., 2018)。
- この動脈は閉鎖動脈の枝であり、大腿骨頭靱帯を経由して大腿骨頭に栄養を供給します(Gautier et al., 2000)。