仙腸関節

仙腸関節は、仙骨の耳状面と腸骨の耳状面によって形成される関節です。両関節面は軟骨で覆われ、その間には滑液を含む狭い関節腔が存在します。関節面には凸凹がありますが、強力な靭帯による関節包で覆われているため、ほとんど可動性はありません。仙骨と腸骨の耳状面は非常に凹凸があるため、関節軟骨が覆っている状態では極端な凹凸はありません。したがって、これは運動制限の主要な原因ではないと考えられます。大まかに言うと、仙骨耳状面の上2/3は縦軸方向に溝状に凹んでおり、腸骨耳状面はそれに対応した隆起をしており、両者が噛み合います。関節軟骨の深層は硝子軟骨であり、表層は線維性の軟骨です。年齢と共に、特に弾性に関しては、関節腔が部分的に消失すると言われています。関連する靭帯には、以下のものがあります。1) 前仙腸靭帯:関節包の前面に位置し、仙骨の外側部の前面と腸骨の耳状面の辺縁に付着します。2) 骨間仙腸靭帯:関節包の後方に位置し、腸骨の腸骨粗面と仙骨の仙骨粗面を結ぶ短いが強力な靭帯で、仙骨と腸骨の間隙を埋めます。3) 後仙腸靭帯:前者の表層に位置し、腸骨と仙骨の後面を結びます。上部の線維束は、ほぼ水平に横断して仙骨粗面と外側仙骨稜から腸骨粗面へ走り、下部の線維は斜め上外方に向かって外側仙骨稜と上後仙骨棘に達します。

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J0327 (右側の仙腸関節:前頭断、前面からの後半部分の図)

日本人のからだ(平田和明 2000)によると

仙腸関節の副関節面(図39)

仙腸関節の副関節面は、耳状面以外の関節面で、これは寛骨の内側に見られます。副関節面は仙骨の副関節面に対応し、調査によると寛骨260側中35側(13.5%)に存在します。男性では13.1%、女性では14.1%と、性差は認められません。副関節面の位置は、耳状面の後上方48.6%、後方34.3%、後下方17.1%に見られ、加齢とともにその出現率は増加する傾向があります(務臺, 1938)。

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図39 仙腸関節の副関節面,関節傍溝,耳状面前溝

図39 仙腸関節の副関節面,関節傍溝,耳状面前溝