菱形靱帯 Ligamentum trapezoideum

J0309 (右肩帯と靱帯:外側から少し前方からの図)

J0310 (右肩関節:前方からの図)
解剖学的構造
位置と関係:
菱形靱帯は烏口鎖骨靱帯(ligamentum coracoclaviculare)を構成する2つの主要な線維束のうち、前外側に位置する靱帯です(Standring, 2020)。円錐靱帯(ligamentum conoideum)の外側に隣接し、両者は共同して烏口突起と鎖骨を強固に連結しています(Tortora & Derrickson, 2017)。
起始部:
- 烏口突起(processus coracoideus)の上面内側縁
- 烏口突起の水平部分に沿って広範囲に付着
- 円錐靱帯の前外側から起始
停止部:
- 鎖骨下面の菱形靱帯線(linea trapezoidea)
- 鎖骨の外側1/3と中央1/3の境界付近に位置
- 円錐靱帯の停止部より外側に付着
線維構造:
- 前部線維束:ほぼ垂直に前上方および上方へ走行し、最も強靭
- 後部線維束:斜めに外上方へ走行し、円錐靱帯との移行部を形成
- 線維の配列:四辺形(菱形)状の扁平な構造を呈する
- 厚さ:円錐靱帯より幅広く扁平で、約1-2cm幅(Netter, 2018)
組織学的特徴:
- 密性結合組織からなり、コラーゲン線維が規則的に配列