髄核 Nucleus pulposus (Discus intervertebralis)

J0290 (腰椎の一部の正中断、右切断半分:左方からの図)
解剖学的構造
髄核は椎間板(椎間円板)の中心部に位置するゼラチン様の構造体で、椎間板の約40%の体積を占めます(Gray et al., 2020)。発生学的には脊索の遺残組織であり(Moore et al., 2018)、若年期には豊富な水分(約80-88%)を含んでいますが、加齢とともに水分含有量は減少します(Urban & Roberts, 2003)。
組織学的特徴:
- 主にII型コラーゲン(細い膠原線維)とプロテオグリカン(特にアグリカン)から構成されています(Eyre & Muir, 1976)
- 膠原線維は疎らかつ不規則に配列され、三次元的な網目構造を形成します(Marchand & Ahmed, 1990)
- 軟骨細胞様の細胞(髄核細胞)が散在し、小グループを形成しています(Roberts et al., 2006)
- プロテオグリカンの高い親水性により、多量の水分を保持し、高い膨張圧(turgor pressure)を維持します(Urban & Maroudas, 1981)
- 血管や神経は通常存在しない無血管組織であり、栄養は拡散によって供給されます(Holm et al., 1981)
力学的特性:
- 強い弾力性と圧縮抵抗性を持ち、油圧クッションのように機能します(Nachemson, 1960)
- 脊柱にかかる荷重を均等に分散し、衝撃を吸収します(Adams & Roughley, 2006)
- 新鮮な椎間板を横断すると、髄核が断面から膨れ出る現象が観察されます(内圧の高さを示す)(Nachemson, 1981)
- 脊柱の屈曲・伸展・側屈・回旋運動時に、髄核は移動し、椎間板の形状変化に対応します(Bogduk, 2005)
臨床的意義
加齢変化と変性
髄核の加齢変化は20代という比較的若い時期から始まることが知られています。この変性過程は不可逆的であり、多くの腰痛患者の病態に深く関与しています(Buckwalter, 1995)。
生化学的変化: