冠状縫合 Sutura coronalis
冠状縫合は、頭蓋骨を構成する最も重要な縫合の一つであり、解剖学的構造と臨床的意義の両面から理解する必要があります (Gray and Carter, 2021; Moore et al., 2023; Standring, 2024)。

J0077 (頭蓋骨、筋の起こる所と着く所:右方からの図)

J0082 (頭蓋骨:上方からの図)

J0087 (左側からの頭蓋骨の正中断図)
解剖学的特徴
基本構造
- 前頭骨(Os frontale)の後縁と左右の頭頂骨(Os parietale)の前縁を結合する線維性関節(Articulatio fibrosa)です。
- 典型的な鋸状縫合(Sutura serrata)を形成し、骨の縁が鋸の歯のように互いに噛み合う構造を持ちます (Standring, 2024)。
- この鋸状構造により、縫合部の接合面積が増大し、頭蓋骨の強度が向上します。
走行と位置関係
- 頭蓋冠(Calvaria)の前部を左右に横断し、冠状面(Coronal plane)に沿って走行するため「冠状縫合」と呼ばれます。
- 正中線上では矢状縫合(Sutura sagittalis)と交わり、ブレグマ(Bregma:前頭点)を形成します。
- 外側では側頭窩(Fossa temporalis)上で蝶前頭縫合(Sutura sphenofrontalis)と合流し、翼点(Pterion)付近で頭蓋底へ連続します。
- 頭蓋内面では、冠状縫合に沿って前頭骨と頭頂骨の接合部が観察されます。
組織学的構造
- 縫合部は密性結合組織からなる線維性結合組織層(Sutural ligament)で構成されます。
- 骨膜(Periosteum)は縫合部を覆い、外側の骨膜層と内側の骨形成層(Osteogenic layer)に分かれます。
- 縫合部には豊富な血管網が分布し、上記の動静脈が縫合線に沿って走行します (Netter, 2023)。
- 神経支配は三叉神経(Nervus trigeminus)の眼神経枝および上顎神経枝から受けます。
- 縫合部の線維芽細胞と骨芽細胞は、骨の成長と修復に重要な役割を果たします。