距骨

距骨は、脛骨および腓骨と関節をなす足根骨です。これにより、下腿の骨と他の足根骨が連結されます。 距骨は、後外側上方から前内側上方へ向かう長軸を持ち、遠位端には丸い頭、近位端には大きな立方形の体、そして中間には細く短い頚があります。 距骨体の上面は脛骨下端に対する関節面を形成し、前後に凸面、左右に軽い凹面を持っています。内側縁は直線的で、外側縁は後方で内側に向かっているため、関節面は前方で広く、後方ほど狭くなります。 内側面の前方上方部には、脛骨内果関節面に対する関節面となる内果面があります。また、広い前方部は前下方に向かい、コンマ状の形状をしています。内果面以外の部分は粗面を持ち、多数の血管孔があります。 外側面には、腓骨外果関節面に対する関節面となる外果面があります。外果面は逆三角形状で、上下に凹面、前後に軽い凸面を持っています。外側面の下方には距骨外側突起があります。 距骨の上面、内果面、外果面は互いに連絡しており、全体として脛骨の下関節面と内果関節面、そして腓骨の外果関節面に対する鞍状の関節頭を形成します。この関節頭全体を距骨滑車と呼びます。 距骨の後面は狭く、後方に向かう突起が距骨後突起と呼ばれます。距骨後突起は、外上方から内下方に走る長母趾屈筋腱溝によって、外側部の大きな外側結節と内側部の小さな踵骨の載距突起の後方に位置しています。外側結節は距骨体から独立している場合や、軟骨で距骨体と連絡している場合があります。独立した小骨は三角骨と呼ばれます。 足底面の後方には、踵骨の後距骨関節面に対する長楕円形の凹面をなす関節面が後距骨関節面と呼ばれます。距骨の長軸は後内方から前外方に向かい、矢状面と約45度の角度をなしています。距骨頭は楕円球状で、後上外側から前下内側に突き出ています。前方の凸面を呈する楕円球面は舟状骨の後面に対する舟状骨関節面となります。 距骨頭の足底面には3つの関節面があります。舟状骨関節面とは細い隆起線によって境があり、最後方にある最大の関節面が中踵骨関節面です。関節面は凹面の楕円形をしており、載距突起と関節します。また、この前外側には舟状骨関節面に連絡する比較的平坦で小さな楕円形の関節面が踵骨の前内側上面に対する前踵骨関節面となります。前の2つの関節面の内側には、舟状骨関節面に連絡する小さな凹面部が距舟靭帯関節面となります。 距骨頚は、頭と体の間の狭窄部であり、上下に圧平された形状をしています。外側上方から内側上方に傾いており、粗面を持っています。足底面には距骨溝と呼ばれる深い溝があり、内側後方から外側前方に走っています。この距骨溝は踵骨の踵骨溝とともに足根洞を形成します。 距骨という名前は、ラテン語のTalus(踵の骨・くるぶし)に由来しています。

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J0251 (右距骨:下方からの図)

J0252 (右距骨:上方からの図)

日本人のからだ(平田和明 2000)によると

蹲踞面は、蹲踞位を取ることで股関節、膝関節、足関節が大きく屈曲し、その姿勢で安定性を得るために関節面が特有の拡張部を局所的に形成する部分を指します。特に脛骨下端の蹲踞面は、距骨頚上の蹲踞面と対向し、距骨内側蹲踞面と内果面の前方延長と対向します。これにより、距腿関節の背屈が極限に達したときに停止させます。また、脛骨外側蹲踞面は、距骨頚上の外側蹲踞面または頚結節(粗面)と対向し、背屈を停止させます。これが蹲踞面の概念であり、以下の説明は特に断りがない限り、Morimoto(1959 a, b, 1960 a, b)および森本(1981)からの引用です。

距骨の蹲踞面(図50, 51)

蹲踞面は距骨の部分で、蹲踞位を取ることにより股関節、膝関節、足関節が大きく曲がり、その姿勢が安定するように特殊な拡張部を形成します。脛骨下端の蹲踞面は距骨頚上の蹲踞面と対向し、距骨内側蹲踞面と内果面の前方延長に対向し、距骨頚上の外側蹲踞面または頚結節(粗面)と対向し、距腿関節の背屈を極限まで停止させます。

距腿関節の蹲踞面は、脛骨下端前部が距骨頚に対向することで生じます。Baraett(1954)は、距骨頚上の蹲踞面を、単なる「前方進展」で関節の背屈を助けるものと、背屈をその極限まで停止させる「真の蹲踞面」とに大きく分けました。

①距骨頚上の蹲踞面:日本人の距骨頚上の蹲踞面は、基本型、内果面の前方延長、内側蹲踞面、外側前方伸展、外側蹲踞面、頚結節(粗面)の6型に分類できます。このうち背屈停止作用を持つ「真の蹲踞面」は内側蹲踞面、外側蹲踞面、頚結節(粗面)の三者だと言われています。出現率は、内果面の前方延長、内側蹲踞面、外側前方伸展が90%以上、外側蹲踞面が10%以下、頚結節が75-90%でした。

②距骨下関節の蹲踞面:距骨下関節の蹲踞面には、距骨体副外面(Sewell)があります。蹲踞位で距骨下関節が大きく回内、外転、背屈され、距骨と踵骨に蹲踞面が形成されます。距骨体副外面は距骨外側突起の前面に生じ、その下縁は後踵骨関節面前外側隅とほぼ直交するように接続します。その形態は通常は三角形-台形で、不規則形または複数の小面状を呈することもあります。日本人ではほぼ全例に認められるとされています。

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図50 距骨頚上の蹲踞面(森本, 1981)

図50 距骨頚上の蹲踞面

A型:基本形、B型:内果面の前方延長、C型:内側蹲踞面、D型:外側前方伸展、E型:外側蹲踞面、F型:頚結節(粗面)