膝窩筋溝 Sulcus popliteus

J0233 (右大腿骨、遠位端部:外側からの図)
解剖学的特徴
膝窩筋溝(しつかきんこう、Sulcus popliteus)は、大腿骨遠位端の外側顆に存在する斜走する溝状構造です(Gray, 2020; Standring, 2021)。
位置と形態:
- 大腿骨外側上顆の直下、外側顆の後外側面に位置します(Moore et al., 2018)。
- 外側側副靱帯付着部のすぐ後方を斜めに走行します(Standring, 2021)。
- 溝の深さは個人差がありますが、通常明瞭に触知可能です(Netter, 2019)。
- 関節面(外側顆の関節軟骨)の後縁と外側上顆の間を結ぶように走ります(Gray, 2020)。
膝窩筋腱との関係:
- 膝窩筋(Musculus popliteus)の腱がこの溝内を通過します(Platzer, 2017)。
- 膝窩筋は脛骨後面から起始し、その腱は関節包内を走行した後、この溝を通って大腿骨外側顆に停止します(Moore et al., 2018)。
- 腱は滑液鞘に包まれており、溝内を滑らかに滑走します(Standring, 2021)。
機能的意義
膝窩筋の作用:
- 膝関節の屈曲(特に屈曲開始時に重要)(Neumann, 2017)
- 下腿の内旋(Neumann, 2017)
- 膝関節のロック解除:完全伸展位(ロック位)から屈曲を開始する際、大腿骨に対して脛骨を外旋させることで「スクリューホームメカニズム」を解除します(Kapandji, 2019)。
- 後方関節包の緊張:膝屈曲時に後方関節包を引き、インピンジメント(挟み込み)を防ぎます(LaPrade et al., 2003)。