大菱形骨結節 Tuberculum ossis trapezii

J0185 (舟状骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0186 (月状骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0187 (三角骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0188 (豆状骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0189 (大菱形骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0190 (小菱形骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0191 (有頭骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))
J0192 (有鈎骨(右手の個々の手根骨:掌側からの図))

J0375 (右手を伸ばし、仰向けにし、尺側に外転させ、手掌背方向からのX線像)

J0376 (右手:伸ばして回旋、橈骨側への外転、軸線が尺骨頭の体に向う、掌背方向からのX線像)
解剖学的特徴
大菱形骨結節は、大菱形骨(第一手根骨)の掌側面に位置する顕著な骨性隆起です(Gray 2020)。この結節は手根骨の中でも触知しやすい解剖学的ランドマークとして重要です(Standring 2016)。
- 位置と形態:大菱形骨の掌側基部に存在し、前方に突出する小さな結節状の隆起を形成します(日本解剖学会 2017)
- 屈筋支帯との関係:屈筋支帯(横手根靭帯)の橈側付着部の一つとして機能し、手根管の外側壁を構成します(Tubiana et al. 1998)
- 腱溝の形成:結節の内側(尺側)には縦走する溝があり、橈側手根屈筋腱が通過します。この溝は腱の滑走を円滑にする役割を果たします(Netter 2018)
- 関節面との関係:結節の近位端は舟状骨の遠位面と関節を形成し、前後方向にわずかに凹面を呈します(Moore et al. 2018)
- 遠位関節面:結節の遠位側には第一中手骨と関節する鞍状の関節面があり、母指の可動性を支えます(Kapandji 2011)
臨床的意義
大菱形骨結節は臨床診断と治療において重要な解剖学的構造です(Green et al. 2017)。
- 触診のランドマーク:手関節橈側の掌側面で容易に触知でき、舟状骨結節のすぐ遠位に位置します。手根骨の評価において重要な指標となります(Hoppenfeld 2020)
- 手根管症候群:屈筋支帯の付着部として、手根管の解剖学的境界を形成します。手根管症候群では正中神経の圧迫部位として重要です(Mackinnon & Dellon 1988)
- 橈側手根屈筋腱炎:結節内側の溝を通過する橈側手根屈筋腱の炎症や腱鞘炎が発生することがあり、手関節橈側の疼痛の原因となります(Rettig 2004)
- 大菱形骨骨折:比較的稀ですが、直達外力や手関節の過伸展により骨折が生じることがあります。結節部の圧痛や腫脹が特徴的です(Garcia-Elias & Lluch 2014)
- 母指手根中手関節症(CM関節症):大菱形骨と第一中手骨の関節の変形性関節症では、結節周囲の圧痛や可動域制限が見られます(Eaton & Littler 1973)
- 脱臼・亜脱臼:外傷により大菱形骨の脱臼や第一中手骨基部の脱臼が生じた際、結節の位置異常が診断の手がかりとなります(Walker et al. 1988)
画像診断
単純X線撮影では掌背像および側面像で結節の形態と位置を評価できます。CT検査やMRI検査では、結節周囲の軟部組織、腱、靭帯の詳細な評価が可能です(Berquist 2013)。
参考文献