三角筋粗面(上腕骨の)Tuberositas deltoidea
上腕骨の三角筋粗面は、上肢の機能解剖学において極めて重要な骨性隆起であり、以下のような詳細な解剖学的特徴と臨床的意義を有しています(Gray, 2020; Netter, 2018; Standring, 2021)。

J0169 (右上腕骨:前方からの図)

J0467 (右上腕の筋(第2層):掌側図)
解剖学的特徴
位置と形態
- 位置:上腕骨体の外側面、中央1/3に位置し、より正確には上腕骨の近位端から約6〜8cmの位置に存在する(Standring, 2021)
- 形態:V字型または三角形の粗造な隆起として描出され、外側面に顕著に突出している
- 大きさ:個人差が大きいが、一般的に長さ約3〜5cm、幅約1.5〜2cm、高さ約3〜5mmの範囲(Moore et al., 2019)
- 表面構造:粗造で不規則な表面を持ち、微細な隆起と小孔が多数存在し、強固な腱付着を可能にする(Platzer, 2022)
組織学的構造
- 骨質:緻密骨(皮質骨)で形成され、内部は海綿骨で支持されている
- 骨膜:厚い線維性骨膜が覆い、三角筋腱との境界でシャーピー線維が骨質内に侵入している(Gray, 2020)
- 血管供給:上腕深動脈の筋枝および栄養動脈からの血液供給を受ける(Neumann, 2017)
- 神経支配:骨膜は腋窩神経の感覚枝によって支配されている
筋付着関係
- 三角筋の停止部:三角筋の前部線維、中部線維、後部線維のすべてが収束して付着する唯一の部位(Platzer, 2022)
- 腱組織の構造:三角筋腱は幅広い腱膜として三角筋粗面に付着し、約2〜3cmの付着面積を持つ(Moore et al., 2019)
- 力学的適応:反復的な牽引力に適応した骨構造の肥厚が認められ、特に利き腕でより顕著である
周囲構造との関係
- 上腕骨大結節との関係:三角筋粗面の近位は、三角筋の起始部がある大結節の遠位延長として連続している