上縁(肩甲骨の)Margo superior scapulae

J0160 (右の肩甲骨:前方からの図)

J0161 (右肩甲骨:後方からの図)
解剖学的特徴
肩甲骨の上縁(Margo superior scapulae)は、肩甲骨の三つの縁の中で最も短く、最も鋭利な縁です(Standring, 2020)。この縁は、上角(Angulus superior)から肩甲切痕(Incisura scapulae)を経て、烏口突起基部(Basis processus coracoidei)に至るまで伸びています。
走行と形態
- 内側上方から外側下方へと約45度の角度で傾斜しています
- 長さは約5-6cmで、肩甲骨の三縁の中で最も短い構造です(Moore et al., 2017)
- 縁の外側端近くには肩甲切痕(Incisura scapulae)という特徴的な切れ込みがあります
肩甲切痕(Incisura scapulae)
肩甲切痕は上縁の外側端付近に位置する半月状の切れ込みで、以下の重要な解剖学的意義があります(Rengachary et al., 1979):
- 肩甲上神経(Nervus suprascapularis)がこの切痕を通過します
- 上肩甲横靱帯(Ligamentum transversum scapulae superius)がこの切痕を橋渡しし、骨性の孔を形成します
- 肩甲上動脈(Arteria suprascapularis)は通常、靱帯の上方を通過します("artery over, nerve under"の原則)
付着する筋肉と靱帯
上縁には以下の構造が付着します:
- 肩甲舌骨筋(Musculus omohyoideus)の下腹:上縁の内側部に付着
- 上肩甲横靱帯(Ligamentum transversum scapulae superius):肩甲切痕を覆う
血管供給
上縁周辺の血管供給は以下によって行われます(Standring, 2020):
- 肩甲上動脈(Arteria suprascapularis):鎖骨下動脈の枝で、上縁に沿って走行