肋骨頭関節面 Facies articularis capitis costae

J0139 (右側の第8肋骨、背面側からの図)
解剖学的構造
肋骨頭関節面は、肋骨後端部に位置する肋骨頭(caput costae)に形成される関節面で、胸椎椎体側面の肋骨窩(fovea costalis)と滑膜性関節を構成します(Gray, 2020; Standring, 2016)。この関節は肋椎関節(costovertebral joint)の一部として、胸郭と脊柱を連結する重要な解剖学的構造です(Moore et al., 2018)。
形態学的特徴
肋骨頭関節面の形態は、肋骨の位置によって以下のように異なります(Standring, 2016):
- 第2〜10肋骨:関節面は肋骨頭稜(crista capitis costae)によって上下2つの部分に分割されます。上方の小関節面は上位胸椎椎体の下肋骨窩と、下方の大関節面は下位胸椎椎体の上肋骨窩と関節を形成し、2つの椎体にまたがる関節構造となります(Gray, 2020)。
- 第1肋骨:関節面は単一で分割されず、第1胸椎椎体とのみ関節します(Moore et al., 2018)。
- 第11・第12肋骨:関節面は単一の円形または楕円形で、それぞれ対応する椎体とのみ関節を形成します(Standring, 2016)。
関節の構造
肋骨頭関節は以下の要素で構成されています(Gray, 2020; Moore et al., 2018):
- 関節包:肋骨頭を取り囲み、椎体に付着します。
- 放射状肋骨靱帯(ligamentum capitis costae radiatum):肋骨頭前面から椎体と椎間円板に放射状に広がる強固な靱帯で、関節の安定性に寄与します(Standring, 2016)。
- 関節内肋骨頭靱帯(ligamentum capitis costae intraarticulare):第2〜10肋骨において、肋骨頭稜から椎間円板に伸びる靱帯で、関節腔を上下に分割します(Gray, 2020)。
機能と運動
肋骨頭関節面は、肋骨結節関節面(facies articularis tuberculi costae)とともに、呼吸運動における肋骨の回転軸を形成します(Moore et al., 2018)。吸気時には肋骨が挙上し、呼気時には下降することで、胸郭容積の変化を可能にします。上位肋骨では前後径の拡大(ポンプハンドル運動)、下位肋骨では横径の拡大(バケツハンドル運動)に寄与します(Kapandji, 2019)。
臨床的意義
肋骨頭関節面に関連する臨床的問題には以下のようなものがあります:
- 肋椎関節症:変形性関節症により関節面の変性が生じ、背部痛や胸郭運動制限の原因となります(Waldman, 2017)。