眼窩面(上顎骨の)Facies orbitalis (Maxilla)

上顎骨の眼窩面は、眼窩底を構成する重要な解剖学的構造であり、眼球とその周辺組織を支持する機能を持つとともに、顔面外傷や眼窩手術において重要な臨床的意義を有します。

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J0049 (右鼻骨:外側からの図)

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J0050 (右鼻骨:内側からの図)

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J0053 (右上顎骨:外側からの図)

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J0089 (右の翼口蓋窩、外側からの図)

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J0090 (右の眼窩:前方からの図)

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J0091 (右の眼窩、アノテーション付き:前方からの図)

解剖学的特徴

形状と位置

眼窩面は上顎骨の上面に位置する滑らかな三角形の骨面であり、眼窩の底面(眼窩底、orbital floor)の大部分を形成します(Standring, 2020)。この面は前方から後方に向かって約4-5cmの長さを持ち、眼窩の最も広い部分では約2.5-3cmの幅を有します(Gray and Carter, 2021)。

眼窩面はやや外側下方に傾斜しており、この傾斜角度は通常10-15度程度です(Moore et al., 2019)。この傾斜により、眼窩内容物が重力に抗して適切な位置に保持される構造となっています。骨の厚さは部位によって異なり、最も薄い部分(眼窩下管の上方)では0.5mm程度、最も厚い部分では3-4mm程度となっています(Drake et al., 2020)。

骨縁と接合部

眼窩面の前縁は眼窩下縁(margo infraorbitalis)の一部を形成し、この部分は比較的厚く強固な構造となっています(Netter, 2018)。この眼窩下縁は触診可能な重要な解剖学的ランドマークです。

眼窩面は以下の骨と接合しています:

眼窩下溝と眼窩下管

眼窩面の後方から前方に向かって眼窩下溝(sulcus infraorbitalis)が走行します。この溝は眼窩面のほぼ中央を通り、眼窩下神経(nervus infraorbitalis)、眼窩下動脈(arteria infraorbitalis)、眼窩下静脈(vena infraorbitalis)を収容しています(Standring, 2020)。

眼窩下溝は前方約1.5-2cmの位置で骨に覆われ、眼窩下管(canalis infraorbitalis)となります。この管は前下方に向かって走行し、最終的に眼窩下孔(foramen infraorbitale)として開口します(Drake et al., 2020)。眼窩下管の長さは通常10-15mm程度で、その直径は3-4mm程度です(Gray and Carter, 2021)。

上顎洞との関係

眼窩面の下方には上顎洞(sinus maxillaris)が位置しており、眼窩面は上顎洞の天蓋(roof)を形成しています。この境界部の骨は非常に薄く、特に眼窩下管周囲では0.5-1mm程度の厚さしかない場合があります(Moore et al., 2019)。この解剖学的特徴は、眼窩底骨折の好発部位や上顎洞疾患の眼窩への波及経路として臨床的に重要です。

神経血管構造

眼窩面に関連する主要な神経血管構造は以下の通りです: