弓下窩 Fossa subarcuata

J0027 (側頭骨:内上方からの図)

J0034 (新生児の右側頭骨:内側からの図)

J1056 (右側の側頭骨を垂直に切断し、外側の切断面を内側からの図)

J1057 (右側の側頭骨を垂直に切り取った部分、中央部分:外側からの図)
解剖学的構造
位置と形態
- 弓下窩は側頭骨錐体部の後面に位置する浅い凹みで、内耳孔(内耳道)の後外方約5-8mmに存在します(Weiglein, 2016; Manjila et al., 2018)。
- 上半規管(superior semicircular canal)の弓状隆起(arcuate eminence)の内側に位置し、この隆起は内耳の骨迷路の一部である上半規管の骨性突出を示しています(Schuknecht and Gulya, 2010)。
- 弓下窩の深さと大きさは年齢により著しく変化し、新生児では深さ約3-5mm、成人では1-2mm程度となります(Tomura et al., 2017)。
- 凹みの底部には小孔(弓下孔:subarcuate foramen)が開口し、この孔を通じて後頭蓋窩と錐体骨内部が連絡しています(Krombach et al., 2015)。
周囲の解剖学的関係
- 前方:上半規管の骨性管腔が走行し、内耳の平衡機能に関与します(Shibata and Yasuda, 2013)。
- 後方:後頭蓋窩の硬膜が接し、小脳の前面に面しています(Matsushima et al., 2014)。
- 内側:内耳道が走行し、顔面神経(CN VII)と内耳神経(CN VIII)が通過します(Lane and Witte, 2018)。
- 外側:乳突蜂巣(mastoid air cells)が発達し、中耳腔と連絡しています(Tanaka et al., 2020)。
内容物と血管分布
- 弓下窩内には脳硬膜の延長(dural extension)が入り込み、小さな静脈叢を形成しています(Krombach et al., 2015)。
- 胎児期から小児期には、前下小脳動脈(AICA)の分枝である弓下動脈(subarcuate artery)が通過し、内耳の血液供給に関与します(Schuknecht and Gulya, 2010)。
- 成人では弓下動脈は退縮し、わずかな血管のみが残存します(Fujita and Kitahara, 2019)。
発生学的変化
胎生期から新生児期
- 胎生8-12週において、錐体骨の軟骨性前駆組織内に弓下窩の原基が形成されます(Shibata and Yasuda, 2013)。