前床突起 Processus clinoideus anterior

J0023 (蝶形骨:上方からの図)

J0025 (蝶形骨:後方からの図)

J0355 (頭蓋骨:後頭前頭方向からのX線像)

J0357 (頭蓋骨:右左方向からのX線像、軸線は右の外耳道の少し上から入ります)

J0566 (右眼窩の動脈:上方からの図)

J0904 (硬脳膜と頭蓋骨を通る神経)
前床突起(前床状突起)は重要な解剖学的構造であり、神経外科手術において重要なランドマークとなります。以下にその解剖学的特徴と臨床的意義を詳述します(Rhoton, 2002; 寺本, 2010):
解剖学的特徴
- 蝶形骨の小翼の内側後方端に位置する円錐形または三角形の骨突起です(Gray, 1918)
- 平均的な大きさは長さ8-10mm、幅5-6mm、高さ6-9mmとされています(Lee et al., 1997)
- 内部には硬膜輪(硬膜の肥厚部)があり、視神経鞘と融合しています
- 前床突起の下面には視神経溝(optic groove)が走行します
- 前床突起と中床突起の間には頸動脈溝(carotid groove)があります(Standring, 2016)
周囲の重要構造物
- 視神経:前床突起の内側下方を通過します
- 内頚動脈:前床突起の外側を通り、その近傍で眼動脈を分枝します(Yasuda et al., 2004)
- 海綿静脈洞:前床突起の外側下方に位置します
- 下垂体:前床突起の内側後方に位置します
- 動眼神経、滑車神経、三叉神経:前床突起の近傍を通過します(Rhoton, 2002)
解剖学的変異
前床突起は他の床突起(中床突起、後床突起)と骨橋を形成することがあります。日本人の頭蓋骨を対象とした研究では、これらの骨橋が約4.5%の頻度で観察されています(Keyes, 1935; 平田, 2000)。特に以下の変異が知られています:
- 前床突起-中床突起間の骨化(caroticoclinoid foramen):内頚動脈の通過部に影響します(Erturk et al., 2004)
- 前床突起-後床突起間の骨化(interclinoid osseous bridge):動眼神経の走行に影響します
- 前床突起の気胞化(pneumatization):蝶形骨洞の拡張によって生じます(Mikami et al., 2007)