最上項線 Linea nuchalis suprema

J0021 (後頭骨:後下方からの図)

J0022 (後頭骨:右側からの図)
解剖学的定義
最上項線(さいじょうこうせん、Linea nuchalis suprema)は、後頭骨の外面に存在する骨隆起線の一つで、上項線(superior nuchal line)のさらに上方に位置します(Standring, 2020)。この隆起線は、外後頭隆起(external occipital protuberance)の上方約7-10mm付近から左右外側方へ向かって走行し、しばしば不明瞭または欠如することもあります(Moore et al., 2018)。
解剖学的特徴
最上項線は後頭骨の後頭鱗(squama occipitalis)の外面に位置し、以下の特徴を持ちます:
- 上項線よりも浅く、不明瞭な隆起線として現れることが多い(Netter, 2018)
- 個体差が大きく、約30-40%の頭蓋骨では明瞭に観察できない(Tubbs et al., 2016)
- 左右対称性に欠けることがあり、片側のみに現れる場合もある
- 後頭部の筋付着部として機能する(Standring, 2020)
筋付着と機能
最上項線には以下の構造が付着します:
- 後頭筋(occipitalis muscle)の起始部:帽状腱膜(galea aponeurotica)の一部を形成(Moore et al., 2018)
- 後頭部の筋膜層
これらの筋の収縮により、頭皮の後方移動や眉毛の挙上に関与します(Netter, 2018)。
臨床的意義
最上項線は以下の臨床場面で重要です:
- 画像診断:CTやMRIにおいて後頭骨の解剖学的ランドマークとして利用される(Standring, 2020)
- 法医学:頭蓋骨の個体識別や性別判定の補助指標となる(男性でより発達する傾向)(White et al., 2012)
- 頭痛の評価:緊張型頭痛や後頭神経痛において、後頭筋の緊張が最上項線付近の圧痛として現れることがある(Becker, 2010)