鼻棘(前頭骨の)Spina nasalis (Os frontale)
前頭骨の鼻棘は、前頭骨の鼻部から下方に突出する重要な骨性構造物であり、鼻中隔の支持および顔面骨格の形態形成において中心的な役割を果たします。以下に、その詳細な解剖学的特徴と臨床的意義について記述します(Gray, 2020; Standring, 2021)。

J0035 (前頭骨:前方からの図)

J0036 (前頭骨:後方からの図)

J0037 (前頭骨:下方からの図)

J1070 (粘膜なしの鼻中隔:左方からの図)

J1071 (鼻中隔と粘膜:左方からの図)

J1072 (鼻腔の右壁と粘膜:左側からの図)
1. 解剖学的特徴
1.1 マクロ解剖学的構造
位置と形態:
- 位置:前頭骨の鼻部(pars nasalis)の下縁中央部から下方に突出し、正中矢状面上に位置します(Moore et al., 2018)。
- 形態:通常、三角形または楔形を呈する細長い骨性突起で、その先端は尖鋭または鈍円です(Netter, 2019)。
- 大きさ:個体差が大きいですが、一般的に長さ5〜10mm、幅3〜6mm程度です。年齢、性別、人種によって形態学的変異が認められます(Lang, 2019; Park et al., 2022)。
- 表面:前面は平滑で、鼻骨との関節面を形成します。後面はやや粗糙で、鼻中隔の軟骨および骨膜が付着します(Rohen et al., 2021)。
周囲構造との解剖学的関係:
- 前方:左右の鼻骨(ossa nasalia)の上端内側縁と縫合により結合し、鼻根部(radix nasi)の骨性支持構造を形成します(Drake et al., 2020)。
- 両側:上顎骨の前頭突起(processus frontalis maxillae)と接し、眼窩内側壁の上部構造の一部を構成します(Sinnatamby, 2018)。
- 後方:篩骨の垂直板(lamina perpendicularis ossis ethmoidalis)の前上端と接合し、骨性鼻中隔の最上部を形成します(Standring, 2021)。
- 下方:鼻中隔軟骨(cartilago septi nasi)の上縁が接続し、軟骨性および骨性鼻中隔の移行部を構成します(Netter, 2019)。
1.2 ミクロ解剖学的構造
組織構造:
- 骨構造:緻密骨(substantia compacta)と海綿骨(substantia spongiosa)から構成され、内部には骨髄腔を含みます(Gray, 2020)。
- 骨膜:外表面は骨膜(periosteum)で覆われ、豊富な血管と神経を含みます。特に後面の骨膜は鼻粘膜と密接に関連します(Moore et al., 2018)。
- 縫合部:周囲骨との結合部は線維性結合組織によって構成される縫合(sutura)を形成し、加齢とともに骨性癒合が進行します(Standring, 2021)。