下 Inferior
「下(Inferior)」は解剖学における方向を示す基本的な用語で、身体や器官の位置関係を正確に記述するために不可欠な概念です。

J0011 (腰椎、椎体:右側からの矢状断図)
解剖学的定義
解剖学において「下」は以下の意味を持ちます:
- 解剖学的正位において、足側または尾側に位置することを示す方向用語
- ある基準点よりも重力方向に近い位置、または身体の下方に存在する構造
- 対義語は「上(Superior)」で、これらは相対的な位置関係を表現します
解剖学的応用
「下」という用語は様々な解剖学的構造の命名に使用されます:
- 下大静脈(Inferior vena cava):下半身からの静脈血を右心房に運ぶ大きな静脈
- 下肢(Inferior limb / Lower limb):骨盤より下方の身体部分
- 下顎骨(Inferior maxillary bone / Mandible):顔面頭蓋の下部を構成する骨
- 下甲状腺動脈(Inferior thyroid artery):甲状腺の下部に血液を供給する動脈
- 下直筋(Inferior rectus muscle):眼球を下方に動かす外眼筋
臨床的意義
臨床医学において「下」の概念は診断と治療に重要な役割を果たします:
- 画像診断:CT、MRI、X線写真などで病変の位置を正確に記述する際に使用(例:「腫瘍は肝臓の下縁に位置する」)
- 手術記録:術野や切開部位、病変の位置を記録する際の標準的な表現(例:「下腹部正中切開」)