[図470] 中脳と上丘の横断面II
(高さについては図459(延髄、橋、および中脳の各横断面の位置を示す図)を参照)
動眼神経核と内側膝状体が観察される。有髄神経線維は黒色、神経細胞は赤色で表示。
この断面は本章の最後のものであり、内側膝状体が観察される。この高さでは左右の動眼神経核に加え、中央部に2、3の核がみられる。すなわち動眼神経(副交感性)副起始核Nuclei originis accessorii (parasympathici) n. oculomotorii(いわゆるエディンガー・ウェストファール核Edinger-Westphalscher Kern)である。腹方では動眼神経の根線維が出ていくのが観察される。大脳脚は、前述の断面と比較して変化していない。被蓋では赤核Nucleus ruber, roter Kernが結合腕の領域に出現している。赤核では小脳の歯状核から来る結合腕の線維が終止する。赤核の主要部分は散在性の小さい神経細胞で構成されている。赤核の下部には運動性の大型細胞があり、この細胞から赤核脊髄路Tractus rubrospinalis(モナコフ束Monakowsches Bündel)が始まる。この線維は赤核を出て間もなく正中線で交叉する。これが腹側被蓋交叉ventrale Haubenkreuzung (Forel)(図468(中脳横断面における皮質延髄路と皮質脊髄路の位置)、図469(中脳と上丘の横断面I))である。交叉後、橋と延髄を通って下方に走り、脊髄に達する(320頁参照)。赤核の上端からは線維束が出て視床と内包に達する(被蓋放線Haubenstrahlung)。
赤核に到達する線維束は以下の起源を持つ:大脳(前頭弁蓋Operculum frontale)、小脳(歯状核Nucleus dentatus、結合腕を経由)、視床(視床赤核オリーブ路Tractus thalamorubroolivaris、すなわち中心被蓋束zentrale Haubenbahn)、淡蒼球、黒核(その網様帯Zona reticularis)、上丘。
赤核から出ていく線維束は次の通りである:赤核脊髄路Tractus rubrospinalis、赤核網様体路Tractus rubroreticularis、赤核オリーブ路Tractus rubroolivaris、赤核視床路Tractus rubrothalamicus、赤核頭頂路Tractus rubroparietalis(頭頂弁蓋に至る)。