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目次(VI. 感覚器)

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図689(左側の骨迷路を開示した図)

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図690(小児の骨迷路(左):外側からの図)、691(小児の骨迷路(左):内側からの図)

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図692(蝸牛ラセン管を開いたところの模型図)、693(蝸牛の中央を通る断面)、694(蝸牛管の上端)

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図695(**骨迷路の鋳型:**左迷路の外方からの図)、696(**骨迷路の鋳型:**右迷路の内方からの図)、697(**骨迷路の鋳型:**左迷路の上方からの図)

蝸牛は骨迷路の前方部を形成し、その基底部はほぼ鉛直に立っており、蝸牛底Basis cochleaeと呼ばれ内耳道と接している。先端は外側に向かい、鼓膜張筋半管に隣接している。蝸牛は前方で頚動脈管と接し、1枚の薄い骨壁のみで隔てられている。蝸牛底の幅は8~9mm、先端と底との距離は4~5mmである。蝸牛の回転の中軸は内耳道の方向とほぼ同じだが、やや外側下方へと傾いている。

蝸牛を貫いている管は蝸牛ラセン管Canalis spiralis cochleaeと呼ばれ、前庭の前下外側の隅から始まっている(図689(左側の骨迷路を開示した図))。岬角Promunturiumとして既述の鼓室内側壁の隆起は、蝸牛の起始部に相当する。

蝸牛の回転数は2 1/2~2 3/4である。回転は同一平面内ではなく、前のものより次のものが常に上昇しながら、同時に狭くなっていく。最後の半回転は強く圧平された形状を示し、第2回転の終端部と同じ高さに位置する点で特徴的である。このため蝸牛頂Cupula cochleaeは、第2回転の終端部と盲端部とで構成される。ラセン管の全長は28~30mmで、その内腔断面は長径2mmの楕円形、半円形、または角の取れた三角形など様々な形状を示す(ただし、これは蝸牛軸から伸びる骨ラセン板を考慮しない場合である)。ラセン管の盲端部は角が取れて丸みを帯びている。

ラセン管に囲まれる蝸牛の中軸は、蝸牛軸Modiolus, Spindelと呼ばれ、海綿状の骨質で構成され、ラセン管の内壁を形成している。蝸牛軸の外壁は緻密な骨包からなる。ラセン管の上下壁は、各回転間の隔壁Zwischenwandによって形成され、第1回転と第2回転の間では厚いが、それより先では徐々に薄くなる(図692(蝸牛ラセン管を開いたところの模型図)、693(蝸牛の中央を通る断面)、694(蝸牛管の上端))。

蝸牛軸は蝸牛底で蝸牛軸底Basis modioliとして始まるが、蝸牛頂までは達していない。第2回転と最後の半回転の間には蝸牛軸の続きのような構造が蝸牛頂まで伸びているが、これは緻密骨質からなる両回転間の隔壁であり、蝸牛軸板Lamina modioliと呼ばれる。

最後の(第3の)半回転は第2回転より上昇せず同じ高さにあるため、これらの間の隔壁は上向きに立っており、蝸牛軸と混同されやすい(図692(蝸牛ラセン管を開いたところの模型図)、693(蝸牛の中央を通る断面)、694(蝸牛管の上端)、3)。蝸牛軸板には管が通じていることが多いが、これは最終神経束の通路ではなく、1本の静脈が通過している。