間脳は左右に分かれているため、そのように命名されています。また、間脳は終脳と中脳の間に位置し、第三脳室で左右に分枝しています。間脳は視床、視床下部、視床上部、視床後部、視床腹部に分類されます。
視床は間脳の大部分を占め、裂隙状の第三脳室で左右の視床が並んでいます。視床は多数の核の集合体で、視床の核の分類法は研究者により異なります。ここでは、国際解剖学用語P.N.A. (Paris Nomina Anatomica, 1955年)に基づく解剖学用語(表9、日本解剖学会, 1987)と、新見(1976, 1983)の分類(表10、図15)をご紹介します。また、視床と大脳皮質の連絡は図16で示されています(新見, 1976)。視床の亜核機能については、視床出血の研究報告があります(後藤, 1988 k)。
表9 視床の核分類(1)(解剖学用語:日本解剖学会, 1987)
視床脳 thalamencephalic | ||
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A. 視床上部 | 松果体 | |
内側手綱核 | ||
外側手綱核 | ||
B. 視床 | 視床前核 | 前背側核 |
前腹側核 | ||
前内側核 | ||
視床内側核 | ||
視床外側核 | 前外側腹側核 | |
中間腹側核 | ||
後内側腹側核 | ||
後外側腹側核 | ||
後核(視床枕) | ||
視床綱様核 | ||
髄板内核 | ||
中心内側核(中心正中核) | ||
C.視床後部 | 内側膝状体核 | |
外側膝状体核 | ||
D.(視床腹部) | 不確帯 | |
視床下核 |
注) 解剖学用語には「視床腹部」は存在しません。したがって、不確帯と視床下核の分類は不明確です。
表10 視床の核分類(2)(新見, 1976, 1983)
視床脳thalamencephalon | |||
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A.視床上部epithalamus | |||
松果体 | |||
手綱核 | 内側手綱核 | ||
外側手綱核 | |||
B.背側視床dorsal thalamus | |||
前核 | 背側前核 | ||
腹側前核 | |||
内側前核 | |||
内側核(背側内側核) | |||
中心内側核(中心正中核) | |||
髄板内核 | |||
外側核 | 外側核 | 背側外側核 | |
(狭義) | 後外側核 | ||
腹側核 | 後腹側核 | ||
前外側腹側核 | |||
後核(枕核) | 内側部 | ||
外側部 | |||
下部 | |||
膝上部 | |||
外側膝状体核 | |||
内側膝状体核 | |||
C.腹側視床ventral thalamus | |||
不確帯 | |||
視床網様核 |
新見は、中心内側核と髄板内核を内側核の一部とし、視床下核を視床下部にそれぞれ分類しています。
図15 視床核の区分.前額断(新見, 1976)
視床の前端部(1)から後端部(6)までが示されています。各断面の高さは最下部の図で示されています。1から6の黒部分は髄板内核を示しています。各部位は以下の通りです:A:前核、CH:手綱交連、CM:中心内側核、CP:後交連、GL:外側膝状体核、GM:内側膝状体核、HL:外側手綱核、HM:内側手綱核、HI:視床束、H2:レンズ核束、LD:背束外側核、LP:後外側核、M:内側核、MT:乳頭視床束、P:後核、PI:後核下部、PL:後核外側部、PM:後核内側部、PS:後核膝上部、R:視床網様核、S:視床下核、VAL:前外側腹側核、VPL:後外側腹側核、VPM:後内側腹側核、ZI:不確帯。