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終脳の内部表面、つまり脳室面は、大脳半球内部の腔所である側脳室Pars lateralis ventriculi telencephali, Seitenventrikelの壁を指します。
胎生期の終脳内腔所である終脳室Ventriculus telencephaliは、正中の終脳室不対部Pars impar ventriculi telencephaliと左右の側脳室Pars lateralis ventriculi telencephaliから構成されます。成人脳では、終脳室不対部は両側の室間孔間にある第三脳室前方部となり、第三脳室終脳部Pars telencephalica ventriculi tertiiとも呼ばれます。一方、それより後方の大部分は第三脳室間脳部Pars diencephalica ventriculi tertiiです。
大脳半球の4葉それぞれに側脳室の一部が対応しています。前頭角Cornu frontale, Vorderhornは前頭葉に、頭頂部Pars parietalis(中心部zentraler Teil)は頭頂葉に、後頭角Cornu occipitale, Hinterhornは後頭葉に、側頭部Pars temporalis(下角Unterhorn)は側頭葉に位置します。(慣例に従い、側脳室の側頭部を下角と呼びます。(小川鼎三))
側脳室は室間孔Foramen interventriculareを除いて完全に閉じています。
図438(金属製脳室系鋳型標本:左側面図) は脳室の金属製鋳型標本を示しています。第三脳室は室間孔に相当する短い柄で側脳室と連結しています。第三脳室は後方で中脳水道に続き、さらに第四脳室へと続きます。第四脳室には側方への膨出部である左右の外側陥凹Recessus lateralesがあります。側脳室では、前頭角が太い前方膨出部、側頭部が下方への大きな突出部、後頭角が小さな後方突出部を形成しています。室間孔から側頭部と後頭角の結合部までの中央部分が頭頂部Pars parietalisです。
前頭角は室間孔から側脳室前端まで約30mm、後頭角は12~20mm、側頭部は30~40mm、頭頂部は40mmの長さです。前頭角前端と後頭角後端の直線距離は75~80mmです。左右側脳室の背方部は後方に離れながらS字状に湾曲し、前方は内側に、後方は外側に凸を向けています。(日本人の側脳室平均サイズ:全長82.7mm(87.6mm)、全高49.5mm、全幅37.1mm、容積10.155ccm。前頭部24.8mm(31.0mm)、頭頂部30.9mm(33.4mm)、移行部後頭部27.6mm(29.0mm)、側頭部25.2mm(38.7mm)、移行部高29.2mm(37.8mm)。括弧内は鋳型模型による計測値。Shimada K.:Beiträge zur Anatomie des Zentralnervensystems der Japaner. VI. Folia Anatomica Japonica, Bd. 9, 429~486, 1931)
[図438]金属製脳室系鋳型標本:左側面図(9/10)