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目次(I.骨格系)

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骨の基本構造

微細構造

特殊構造

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RK157(管状骨の縦断面)、158(晒した大腿骨の内腔の金属鋳型)

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RK159(骨の縦断研磨標本)

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RK160(骨の横断研磨標本)

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RK161(層板内原線維の走向)、162(ハヴァース管の内容)

まず骨組織がどのように配列して1個の骨を構築しているかを見てみよう。最も適した観察方法は、管状骨を横断および縦断することである。長軸に沿って真二つに鋸で切った管状骨(RK157(管状骨の縦断面)、158(晒した大腿骨の内腔の金属鋳型) )を肉眼で観察すると、骨の中央部(骨幹)に硬い緻密な部分があり、骨の両端に向かって徐々に薄くなっていることがわかる。骨端部では、この緻密質Substantia compactaが薄くなるにつれ、緻密質から内方に伸びる梁状の構造、すなわち海綿質Substantia spongiosaの占める部分が広くなる。

管状骨の中央には髄腔Cavum medullare, Markhöhleがあり(RK157(管状骨の縦断面)、158(晒した大腿骨の内腔の金属鋳型) )、両骨端で海綿質の多数の小腔へと移行している。

相当太い血管を通す管が多数、骨端や骨幹から骨の内部に侵入し、豊富に分枝して骨全体を貫通している。このようにして、骨膜から緻密質・海綿質、さらにその内容全体が血管の分布を受けているのである。

さて、顕微鏡で器官構造の観察を始める前に、次のことを思い出しておこう。骨組織Tela osea, Knochengewebeは結合組織に属するため、(石灰化した)細胞間質と、細胞、そして線維から成り立っているということである(2. 結合および支持組織 Bindesubstanzgewebe参照)。さらに、我々が観察しているのは晒した骨、すなわち石灰化していない軟部を腐敗作用によって除去した骨であることも考慮に入れておく必要がある。つまり、骨細胞Knochenzellenは見えず、骨細胞が入っていた骨間隙Knochenlückenが見えるだけであり、同様に血管・神経・リンパ管も見えず、それらが通っていた管だけが認められるのである。

縦断研磨標本(Längsschliff)を観察すると、ハヴァース管(Haversche Kanälchen)と呼ばれる細い小管が多数認められる。これらの管の間を埋める骨質には、整然と配列した多数の骨小腔(Knochenhöhlen)と、そこから放射状に伸びる無数の微細な骨細管(Knochenkanälchen)が見られる。

管状骨の横断研磨標本(Querschliff)を観察すると、まずハヴァース管の断面が点在しているのが目立つ。これらの間隔と直径は多様である。しかし、より顕著なのは緻密質の層板構造(blättriger Bau)である。これは骨基質層と骨小腔層が交互に重なることで形成され、縦断面でも認められるが横断面でより明瞭である。層板(Lamellen)の方向は一様ではない。緻密質の最外層に平行して走るのが外基礎層板(äußere Grundlamellen、FundamentallamellenまたはGenerallamellenとも呼ばれる)で、最内層にあるのが内基礎層板(innere Grundlamellen)である。