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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)

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図526(喉頭神経の分枝)

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図536(頚部の神経と血管(深層))

上喉頭神経は節状神経節の下部で迷走神経から分かれ、交感神経の上頚神経節および咽頭神経叢Plexus pharyngicusから細い枝を受け取った後、2本の枝に分かれる。それは外枝Ramus externusと内枝Ramus internusである。この2枝に分かれる前に、細い頚動脈枝Ramus caroticusを総頚動脈神経叢に送り出している。

上喉頭神経の起始近くで、この神経および迷走神経の幹から短い2根をもって抑制神経N. depressorが発生する。これは心臓に至る神経の1つで、その中枢側を刺激すると血圧が著しく下降する。

外枝Ramus externus(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))は交感神経の上頚神経節から1本の細い枝を取り入れ、喉頭咽頭筋と輪状甲状筋に分布する。この枝からさらに細い枝が出て甲状腺に達する。

内枝Ramus internus(図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経))は外枝よりもずっと太く、舌骨甲状膜を貫いて喉頭蓋の粘膜に声門裂まで分布し、また喉頭の後壁を被う粘膜にも分布する。下喉頭神経との交通枝Ramus communicans cum nervo laryngico caudaliは後輪状披裂筋の後面の上を下方に走る(図526(喉頭神経の分枝))。

Hoferの機能検査によれば、内枝の支配する粘膜の範囲は声門裂を越えてさらに下方まで伸びている(Monatsschr. Ohren. heilk., 63. Jahrg., 1929)。内枝からも細い小枝が出て甲状腺に達する(Braeucker)。この神経の喉頭粘膜における細かい枝分かれの中に、Ganglia n. laryngici cranialis(上喉頭神経神経節)という小さい神経節が散在している。