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(図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す)、図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写))、図519(頭部と頚部における皮神経の分布領域) 、図521(頭部表層の神経 I)、図522(頭部表層の神経 II))
これは下顎神経の幹の後縁から通常2根を持って起こり、この2根の間に中硬膜動脈を挟んでいる(図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写)))。次いで下顎骨の関節突起の後ろで弓なりに曲がって外側上方に向かい、耳下腺の下を進み浅側頭動脈の後ろに達し、その終枝は耳と側頭部の皮膚に放散する。この神経は経過の途中で2つの結合をなしている:すなわち a) 耳神経節から枝(図518(耳神経節とその結合(内側面からの描写)))(耳神経節交通枝Rami communicantes ganglii otici)を受ける。この枝によって舌咽神経から小浅錐体神経を介して耳下腺への分泌線維が耳介側頭神経に導かれる。b) 耳介側頭神経は顔面神経N. facialisと結合する。これには多くの場合顔面神経との交通枝Rami communicantes cum n. faciali(図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す))と呼ばれる2枝があり、これらの枝は耳介側頭神経が上方に曲がるところで顔面神経の上部の枝と合して、これに知覚性の線維を与える(図522(頭部表層の神経 II))。
耳介側頭神経の枝としては次のものがある:1~2本の顎関節への小枝。耳下腺枝Rami parotidici、これはその数が個体によって異なり耳下腺の実質に行くものである。外耳道神経Nn. meatus acustici externiは通常2本あり、それは上下各1本であって外耳道の骨性部と軟骨性部との境から後者の壁に入っている。その下枝は外耳道の下壁に、上枝は上壁に至り、いずれも外耳道の皮膚を支配する。上枝から鼓膜枝R. membranae tympaniという細い枝が出て鼓膜に達する。次に前耳介神経Nn. auriculares temporales(図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す))。これは浅側頭動脈の後ろを通って耳介の凹面の皮膚に分布する。また浅側頭枝Rr. temporales superficiales(図517(**下顎神経の分枝:**外側から描写。また、顔面に分布する眼神経と上顎神経の枝も示す))は耳介側頭神経の終枝であって、頬骨弓の上を越えた後に耳の前方と上方の側頭部の皮膚に広がっている。その枝分かれの最終部分が前頭神経・顔面神経・後頭神経の諸枝と吻合している。