この筋膜は腹横筋の内面およびその停止腱膜の上部を被覆し、薄膜となって横隔膜と腰方形筋の上に広がり、腰方形筋の内側縁で腰筋膜に連続する。
腹横筋膜は下方で腸骨稜、腸骨筋膜、および鼡径靱帯と結合する。半環状線より下方では腹直筋の後面を被い、鼡径靱帯の内側部下方では外腸骨動静脈および裂孔靱帯と密接に関連する。この筋膜から嚢状の突起、すなわち腹横筋膜の鞘状突起（Processus vaginalis fasciae transversalis）が生じ（RK498(前腹壁と鼡径管の水平断の模型図) ）、鼡径管を通って陰嚢内に下降する。これは精巣および精索を完全に包む被膜、すなわち精巣および精索の鞘膜（Tunica vaginalis testis et funiculi spermatici）を形成し、その外面は挙睾筋に覆われる。この突起の入口は腹膜下鼡径輪（Anulus inguinalis praeperitonealis, innerer Leistenring）と呼ばれる。腹横筋膜の内側には腹膜（Peritonaeum, Bauchfell）が位置する。この重要な筋膜の特徴のうち、以下のものについてさらに詳細に述べる必要がある。
α. 大腿輪中隔 Septum anuli femoralis
β. 腹膜下鼡径輪 Anulus inguinalis praeperitonealis, innerer Leistenring