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目次(VI. 感覚器)

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眼球中膜の血管系の概要

動脈系

静脈系

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図612(脈絡膜の渦静脈)、613(脈絡膜の動脈)

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図619(子供の眼の脈絡膜と虹彩の血管)、620(1個の毛様体突起を長軸に対して直角に切断した断面図)

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図648(眼の血管の模型図)

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図649(虹彩と脈絡膜の血管)

これは脈絡膜動脈、虹彩動脈、毛様体小枝、およびそれらに付随する諸静脈、渦静脈、毛様体静脈から構成される(図612(脈絡膜の渦静脈)、613(脈絡膜の動脈)図619(子供の眼の脈絡膜と虹彩の血管)、620(1個の毛様体突起を長軸に対して直角に切断した断面図)図648(眼の血管の模型図)図649(虹彩と脈絡膜の血管)を参照)。

a) 脈絡膜動脈(Aa. chorioideae)は眼動脈(A. ophthalmica)から4〜6本の枝として発し、眼球に達する過程で分枝する。視神経の進入部では18〜20本の枝となって強膜を貫く。強膜通過前に、細枝を強膜後半部と視神経硬膜鞘へ送る。脈絡膜内では、毛細管板(Lamina capillarium、591頁)の豊富な毛細血管系を形成する。視神経進入部では、視神経血管輪および毛細管板の毛細血管を介して網膜血管系と連結する。また、脈絡膜前方部では、約10本の後方走行枝によって虹彩動脈、毛様体小枝、大虹彩動脈輪と結合する。

b) 虹彩動脈Aa. iridis (図649(虹彩と脈絡膜の血管))は2本存在し、眼球の内側と外側にそれぞれ1本ずつある。両者は強膜と脈絡膜の間を走行して毛様体に至り、ここで大虹彩動脈輪Circulus arteriosus iridis majorを形成し、毛様体小枝と吻合する。大虹彩動脈輪からは多数の血管が放射状に虹彩へ入る(図649(虹彩と脈絡膜の血管))。これらの吻合により、大虹彩輪と小虹彩輪の境界に小虹彩動脈輪Circulus arteriosus iridis minorisが形成される。

大虹彩動脈輪からは2、3本の逆行枝が出て、毛様体冠、毛様体筋、および虹彩に分布する。虹彩動脈は大虹彩動脈輪を介して毛様体小枝と吻合し、逆行枝を通じて脈絡膜動脈とも吻合する。

c) 毛様体小枝Ramuli ciliaresは4つの眼球直筋の動脈からそれぞれ通常2本ずつ分岐し、枝分かれしながら前方へ進む。角膜縁後方で強膜を貫き、強膜静脈洞後方で毛様体筋に進入する。強膜貫通前に細枝が分かれ、強膜前方部および眼球結膜へ向かう。強膜貫通後の枝は毛様体筋内で分枝し、大虹彩輪と毛様体筋へ至る少数の逆行枝も出す(図648(眼の血管の模型図)図649(虹彩と脈絡膜の血管))。

静脈については、

1.渦静脈Vv. vorticosaeはa) 脈絡膜Chorioides, Aderhaut ですでに述べた。この静脈は虹彩、毛様体冠、毛様体筋の一部、毛様体輪、脈絡膜から血液を集め、強膜貫通後は強膜表面を走行する静脈からも血液を受け入れる。

2.毛様体静脈Vv. ciliaresは眼球内では毛様体筋からのみ枝を受け取るが、強膜内走行中に強膜静脈洞からの血管を受け入れる。強膜静脈洞は毛様体静脈と開放性に結合し、各毛様体静脈を輪状に連結する静脈洞を形成する。強膜静脈洞から外側へ向かう多数の血管が強膜へ進み、毛様体筋由来の毛様体静脈枝と強膜内で結合する。毛様体静脈は眼球を出た後、強膜表面の微細な血管網および眼球結膜から血液を受け、最終的に眼球直筋の諸静脈へ注ぐ。