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基本構造と特徴
解剖学的特徴
変異と進化的背景
広頚筋は薄い平たい皮膚筋である。森田は日本人129体の広頚筋を観察し、I型(12.4%)からVIII型(1.8%)まで8つに分類した(森田信:解剖学雑誌 21巻,755~760,1943)。この筋は顔面に始まり、下顎骨縁を越えて頚部へ向かい、皮下組織直下を第2あるいは第3肋骨まで延びる。この走行により、頭部と頚部の境界を明確に区別できる。頚部において、線維は下顎骨縁から下方へ分散し、鎖骨を越えて第2肋骨付近まで延びて皮膚に固着する。最内側の線維はオトガイ部で鋭角を形成して交差し、中頚部(Regio colli media)には筋の被覆がない。線維束は背側では肩部に達する。
―広頚筋の顔面部については頭部の筋の項、第1群:広頚筋から分化したもの Platysma-Differenzierungen 、13. 広頚筋の顔面部 Pars facialis platysmatis を参照せよ。
**神経支配:**顔面神経による。
**変異:**この筋は完全欠損または部分欠損がみられ、部分欠損の場合は主に下部を欠く(Gegenbaur, Chudzindsky, Bluntschli)。両側の線維束交差はオトガイ部の上方や下方に位置することがある。まれに、より深層に第2の筋層が存在し、この深層線維は縦走して耳介または耳下腺咬筋部と連絡する。
広頚筋は哺乳類において広く発達している皮膚筋の遺残であり、皮膚運動に関与する。この皮膚筋は肉性被層(Panniculus carnosus)と呼ばれる。そのため、広頚筋は時として少数の筋束をもって通常の範囲を超え、頬骨弓、僧帽筋停止部、あるいは第4肋骨にまで及ぶことがある。肉性被層に由来する過剰筋の発現形態と機能は多様で広範である。
Bluntschli, H., Morph. Jhrb., 40. Bd., 1909.
――G. Ruge, 同上, 41. Bd., 1910, 43. Bd., 1911.