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目次(IV. 内臓学)

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腹膜が右と左の2枚からなる矢状方向の肝鎌状間膜を形成することは前述の通りである。この膜の下方に向かった自由縁には、閉鎖した臍静脈が円索として含まれている。この矢状方向に走る腹膜のひだが肝臓の横隔面上に付着する2本の線は、図352(肝臓の横隔面と内臓面の腹膜線)、353(肝臓の内臓面の腹膜線)では4で示されている。これらの線は後方に進んで肝臓のいわゆる付着部に至り、ここで両側に向かって互いに離れていき、この付着部の前界を形成している(図352(肝臓の横隔面と内臓面の腹膜線)、353(肝臓の内臓面の腹膜線)、5と6)。付着部の後界は図352(肝臓の横隔面と内臓面の腹膜線)、353(肝臓の内臓面の腹膜線)において7から8と+を経て7に走っている。前界と後界は右と左の端で合しており、そこにはそれぞれ三角形のひだがある。左側のものがより大きな広がりを持つことがある。これら2つの翼状のひだは右三角間膜、左三角間膜Mesohepaticum laterale dextrum, Mesohepaticum laterale sinistrumと呼ばれる(図352(肝臓の横隔面と内臓面の腹膜線)、353(肝臓の内臓面の腹膜線)、7と7)。

肝臓の左縁の近くで、肝臓と横隔膜の間にはしばしば小さな腹膜のくぼみが存在する。これは横隔肝陥凹Recessus phrenicohepaticus(v. Brunn)と呼ばれ、横隔膜の腹腔面において肝臓と横隔膜との付着面の後界に沿って右から左に伸びている。そのため、入口は右方にあり、盲端は左方にある。この陥凹は、肝臓の左葉が生後にその一部が退縮し、この部分の前縁(まれに上縁)が横隔膜と癒着することによって形成される。

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[図352]肝臓の横隔面(破線)と内臓面の腹膜線(点線)

1 右葉、2 左葉、3 胆嚢切痕、4 肝切痕と肝鎌状間膜の両葉、5・6 肝臓の付着部の前界、7・7 右と左の三角間膜、8(7から10まで)付着部の左の後界、9と10(左)矢状裂の静脈管索部を下行し、さらに肝門をとりまく2つの腹膜線、9 小網の前葉の起始線、10 小網の後葉(すなわち網嚢の前壁)の起始線、11 尾状葉の後端、11と12 網嚢の後葉の起始線と付着部の後界、13(7からまで)付着部の右の後界、14 尾状葉の領域、 尾状突起

[図353]肝臓の内臓面の腹膜線

肝臓はその前縁を上方に向けている。図352図353を合わせて観察すること。1 右葉、2 左葉、3 方形葉、4 尾状葉、4' 乳頭突起、4" 尾状突起、5 胆嚢、6' 臍静脈索とその後方の続きが門脈の左枝に合するところ、7 下大静脈、8・8・8 静脈管索、9 門脈の左枝、10 固有肝動脈、11 総胆管、12 門脈の右枝、13 肝鎌状間膜の2線が付着部に達して終わるところ、14と15 付着部の前界、16~19と17~18 付着部の後界、18と19 左右の三角間膜の付着する場所、20 腎上体圧痕、21~22と21~16 小網の前葉の起始線、22と17から出て4のまわりをとりまく線は網嚢孔の天井と尾状葉を囲んでいる。これらは網嚢に属する。