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目次(II. 筋系)

筋系の図譜

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筋肉の血管構造

腱の血管分布

リンパ管系

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RK476(ヒトの手の虫様筋断面の強拡大図)

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RK479(筋の終動脈とその毛細血管への分岐)

筋および腱に入る動脈は、通常2本の静脈を伴い、分岐して粗密さまざまな網を形成する。この網から更に細い動脈が出て、筋線維の方向とほぼ直角に交わり、筋の終動脈Endarterienとなる。これらの細い動脈間には比較的太い吻合がほとんど見られない。

この終動脈は静脈を伴わず、動脈と静脈が大きな間隔を保ちながら筋の内部を走行する。そこから出る多数の細い血管は筋線維の方向に沿っている(RK479(筋の終動脈とその毛細血管への分岐) )。各筋線維は周囲の様々な場所で多数の毛細血管を伴う(RK476(ヒトの手の虫様筋断面の強拡大図) も参照)。直角方向の吻合が縦走する血管同士を結びつけ、これにより毛細血管網は直角に交差する網目を形成する。この網から血液を導出する静脈は、細いものでも多数の弁を備えている。各筋は周囲に対してほぼ隔絶された、完全に筋内に閉じ込められた1つの血管系を持つ。隣接する筋との間の血管結合は細く、数も少ない。

筋肉は血管が非常に豊富だが、対照的に腱では血管が乏しく、特にその深部では極めて少ない。小さな腱では内部に血管を全く欠くものもある。しかし、腱を包む周囲の結合組織には血管があり、これは網目の大きい毛細血管網を形成している。

筋のリンパ管Lymphgefäßeは少ないながらも血管に伴って見られる。比較的豊富なリンパ管が腱および筋膜の表面やそれらの深部に確認されている。

Aagaard(Anat. Hefte 1913)は人の筋のリンパ管を研究した。彼によれば、人の骨格筋には非常に豊富なリンパ管があるという。細いリンパ毛細管およびリンパ管叢は小さい血管に接して存在し、これらが集まって大きい血管に沿ってさらに大きいリンパ管の幹および叢を形成する。四肢の筋では、このリンパ管叢は筋内部の腱部分のリンパ流出路となっており、舌では粘膜からのリンパ流出路も兼ねている。血管の側を通り、さらに太いリンパ管がその領域のリンパ節に達する。

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[図479] 筋の終動脈とその毛細血管への分岐:家兎の骨格筋における血管注入標本。