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ニューロン間の結合は汎在基礎網内だけでなく、1つあるいは複数のニューロンの様々な大きさの枝が別のニューロンの細胞体や樹状突起に接触することでも広く行われている。細胞体とその突起の周囲には、細い線維からなる網目構造、すなわち線維籠Faserkorbが存在し、この網には外部からかなり太い枝(他のニューロンの側枝や樹状突起)が入り込んでいる(図357(細胞周囲の神経終末網)、358(ニューロンの細胞体および樹状突起への側枝の終末) )。
この比較的粗い網目からさらに細い線維が伸び、神経細胞の細胞体および樹状突起の表面に、より目の細かい網であるゴルジ外網äußeres Golginetz(図357(細胞周囲の神経終末網)、358(ニューロンの細胞体および樹状突起への側枝の終末) )を形成する。この網は、わずかな原線維周囲物質に包まれた神経原線維で構成され、細胞体および樹状突起に密接に接している(Bethe)。Heldによれば(図359(細胞周囲の神経終末網))、神経細胞に到達する多数の極めて細い神経枝の終末が肥大して神経終末足Nervenendfüßeを形成し、これらが突起を出して相互に連結している。
図357(細胞周囲の神経終末網)、358(ニューロンの細胞体および樹状突起への側枝の終末)
これにより細胞周囲の神経終末網Perizellulares nervöses Endnetz(図359(細胞周囲の神経終末網))が形成される。この網の結節点が神経終末足であり、ここには格子状の神経原線維網が存在し、原線維を神経細胞内部に送り込んでいる。また、包まれている神経細胞から原線維が細胞周囲の神経終末網へ出ていることも想定される。この網は外側へいわゆる汎在基礎網"allgemeines Grundnetz"と連続しており、細胞周囲の神経終末網は基礎網の一部に過ぎない。
そのため、Held(1927)は灰白質内の神経原線維の格子を次の3つに分類している:1. 神経細胞内部のもの、2. 細胞周囲の神経終末網、3. 汎在基礎網。
したがって、興奮が他のニューロンへ伝達される経路には、基礎網内での樹状突起の分枝および神経突起(軸索突起)の分枝(図361(刺激の一次Neuronから二次Neuronへの伝達を示す模式図:一次Neuronの終末分枝が二次Neuronの樹状突起の枝へ)、362-363(刺激の一次Neuronから二次Neuronへの伝達を示す模式図:一次Neuronの側枝の終末分枝が二次Neuronの細胞体へ) )を介するものと、神経終末足を通じて直接細胞体やその樹状突起の幹部に伝わるもの(図357(細胞周囲の神経終末網)、358(ニューロンの細胞体および樹状突起への側枝の終末) 、図359(細胞周囲の神経終末網) 、図361(刺激の一次Neuronから二次Neuronへの伝達を示す模式図:一次Neuronの終末分枝が二次Neuronの樹状突起の枝へ)、362-363(刺激の一次Neuronから二次Neuronへの伝達を示す模式図:一次Neuronの側枝の終末分枝が二次Neuronの細胞体へ))がある。これらのシナプスは可塑性のある構造で、進行性および退行性の変化を示す(W. Kirsche, Psychiatr., Neurol., med. Psycholog., 6. Jahrg.)。
Bethe, A., Allgemeine Anatomie und Physiologie des Nervensystems. Leipzig, G. Thieme 1903.--Held, H., Monatsschr. Psych. NeuroL, 65. Bd.,1927,およびFottschr. naturw. Forsch., Heft 8,1929.--Boeke, I., Kon. Akad. Wetenschappen,1929. Bauer, Kar1, Z. Zellforsch., 30. Bd.,1940およびArch. Psychiatrie,114. Bd.,1941.
[図359]細胞周囲の神経終末網
イヌの脊髄前柱の細胞(Heldによる,1929).