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目次(VI. 感覚器)

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解剖学的構造

組織学的特徴

涙嚢Tränensackは眼窩の涙嚢窩内に位置する。涙嚢窩は薄い1枚の眼窩骨膜Periorbitaに覆われ、前後の涙嚢稜間にはさらに厚い1枚の骨膜が張られているため、涙嚢窩は眼窩からは直接見えない。

涙嚢の粘膜は涙嚢窩内面を覆う線維性被膜と、主に疎性結合組織によって結合している。眼窩骨膜に包まれる涙嚢窩の寸法は、長さ約15mm、深さ7mm、幅4~5mmである。涙嚢の形状は涙嚢窩に一致し、両端が細くなっている。特に細くなった上端は涙嚢円蓋Fornix sacci lacrimalisと呼ばれる。涙嚢の上端は内側眼瞼靱帯に覆われている(図662(左眼窩の眼瞼板、上眼瞼挙筋腱、上下斜筋を前方から剖出した図))。

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図662(左眼窩の眼瞼板、上眼瞼挙筋腱、上下斜筋を前方から剖出した図)

鼻涙管Ductus nasolacrimalis, Tränennasengangは骨性鼻涙管Canalis nasolacrimalisから下方へ様々な長さで伸びている。これは管の内側壁がしばしば長い範囲で鼻粘膜に覆われているためである。そのため、鼻涙管の長さは個体差が大きく、12mmから24mmの間で変動する。鼻涙管は外鼻孔の後縁から30~35mm後方の下鼻道に開口している。

この開口部が骨性鼻涙管の開口と同じ高さにある場合、その口は広く縁が鋭いことがある。開口がより下方にある場合は、通常、鉛直方向の裂け目となる。鼻涙管の下端が盲端を形成することがあり、その場合は側方の開口が生じうる。また、両方の開口が同時に見られることもある。開口部より下方に、長い粘膜の溝が稀に延びていることがある。開口を内側から覆う粘膜葉がよく発達している場合、これを鼻涙管ヒダPlica ductus nasolacrimalisと呼ぶ。これは弁として機能し、呼気時に閉じ、吸気時に開く。

涙嚢の粘膜は骨膜に緩く付着しているのに対し、鼻涙管と骨膜の結合はより密である。ただし、粘膜と骨膜は下鼻甲介の静脈叢の続きである密な静脈叢によって隔てられている。

微細構造:涙嚢と鼻涙管の粘膜は、その結合組織性部分が多数のリンパ球を含む細網性結合組織(その発達程度は様々)で構成されている。涙嚢から鼻涙管の開口部まで、粘膜上皮は部分的に線毛を持つ背の高い円柱上皮であり、その基底部には補充細胞Ersatzzellenがある。また、杯細胞Becherzellenもしばしば観察される。鼻涙管の下部には粘液腺が存在するが、上部では個体によって存在したりしなかったりする。