恥骨結合は左右の寛骨、より具体的には左右の恥骨を結合する。
結合面は左右の恥骨の恥骨結合面(Facies symphyseos)である。
この面はわずかに凸状で、向かい合う両結合面の間隔は上部より下部で広くなっている。
恥骨間線維軟骨板(Lamina fibrocartilaginea interpubica)が両面の間を埋めている。
恥骨間板は骨の縁で2〜3mmの厚さの硝子軟骨からなり、内部はFickの「中心間板」(中心恥骨間円板)と呼ばれる線維軟骨で構成されている。その中には常に恥骨結合腔(Cavum symphyseos, Fick)という空所がある(Fick, Anat. Anz., 19. Bd., 1901)。子供では硝子軟骨層がよく発達しているが、成人では中心恥骨間円板の方がよく発達している。
骨盤腔側に恥骨後隆起(Eminentia retropubica)という隆起があり、これは妊娠時に肥大するという。
特殊構造として恥骨靱帯(Lig. pubicum)と恥骨弓状靱帯(Lig. arcuatum pubis)がある。
恥骨靱帯は恥骨結合の上縁にあり恥骨間板に強固に癒合し、側方に恥骨結節まで伸びてクーパーの恥骨靱帯(Lig. pubicum Cooperi、RK435(脊柱と骨盤右半を結ぶ靱帯および股関節の前面図))に放散する。恥骨弓状靱帯は三角柱状で、横断面で約1cmの高さがある。恥骨結合の下縁にあり、恥骨角または恥骨弓に丸みを与える。そのため、この靱帯の長さは男性で2cm、女性で3〜3.5cmである。この靱帯の下縁は非常に鋭利なことがある。
恥骨結合の可動性は極めて小さく、わずかに動くだけで、僅かなバネの役割を果たすにすぎない。
血管は下腹壁動脈・閉鎖動脈・大腿動脈の各恥骨枝から供給される。
[図433]恥骨結合(4/5):前額断面を前方から見る