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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図415(小脳脚)

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図421(菱形窩の表面像)

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図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩)

延髄の錐体(Pyramis medullae oblongatae)は前正中裂と前外側溝の間に位置し、幅は5~6mmある。これは脊髄の前索の続きではない。

延髄の側索(Fasciculus lateralis, Seitenstrang)は前外側溝と後外側溝の間にあり、長楕円形の隆起が特徴的である。この隆起をオリーブ(Oliva, Olive)と呼び、その内側縁は縦走して前外側溝と一体化している。オリーブは長さ14mm、幅7mmで、内部に美しいひだ状の灰白質板、すなわちオリーブ核(Nucleus olivae, Olivenkern)を含む。

オリーブの下端は、やや尖っており、錐体交叉の始まりよりやや上方で、菱形窩の尖った下端と同じ高さにある。しばしば発達した前外弓状線維(Fibrae arcuatae externae ventrales)に覆われている。オリーブの上端は深い溝によって橋の下縁から隔てられ、後縁は後外側溝から2~3mm離れている。

延髄の後索(Hinterstrang)、別名索状体(Corpus restiforme, Strickkörper)は、最初は後外側溝と後正中溝の間にあるが、後に後正中溝の代わりに第四脳室の外側縁が現れる。延髄の後索は上方に進むにつれ、内部の灰白質塊によってより強大になり、後中間溝によって次の2部に分けられる(図421(菱形窩の表面像) )。

a. 脊髄の後索の内側部(Pars medialis fasciculi dorsalis)の続きである内側部分は、上方に向かって幅を増し、菱形窩の下部側方で膨らんで槌子(Clava, Keule)となる。槌子の内部には灰白質の核、すなわち後索内側部核(Nucleus partis medialis fasciculi dorsalis、略して槌子核Nucleus clavaeとも呼ぶ)がある。槌子の上方では内側部が再び細くなり、索状体の内側部で見えなくなる(図421(菱形窩の表面像)図422(脳幹、四丘体付近、菱形窩) )。

β. 脊髄の後索外側部(Pars lateralis fasciculi dorsalis)の続きである外側部分は、上行するにつれて著しく幅が広がる。しばしば槌子の高さでやや外方に突出し、(後索の)外側部結節(Tuberculum partis lateralis fasciculi dorsalis)となる(図421(菱形窩の表面像) )。その内部には後索外側部核(Nucleus partis lateralis fasciculi dorsalis)がある。

γ. 側索では脊髄灰白質の後柱の頭部が肥大して続いている。この頭部が表面近くにあるときは、その部位が暗色を呈する。さらにここが突出部を形成することがあり、これを灰白結節(Tuberculum cinereum)という。

索状体(Corpus restiforme)は髄小脳脚(Crus medullocerebellare)とも呼ばれ、この線維束の一部(詳細は割愛する)が急激に屈曲して小脳に達する(図415(小脳脚) )。

上述の縦走線維束(Längsfaserzügen)に加えて、延髄には横走線維束(Querfasernüge)もある。これらは全体として外弓状線維(Fibrae arcuatae externae, Gürtelfasern)と呼ばれ、発達の程度には個体差がある。

前外弓状線維(Fibrae arcuatae externae ventrales)は前正中裂から出て、オリーブを覆いながら進み、索状体に達する。

多くの例では、錐体が橋に入る直前の位置で、特殊な横走線維群が錐体の上端を取り囲んでいる。この線維群は前小橋(Propons、Vorbrückchen)として知られ、両側で錐体の近くと前正中裂の深部で消失する。