https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(VI. 感覚器)

funalogo.gif


658.png

図658(右側涙器の図解)

上下2つの涙小管があり、互いに寄り添いながら内側へ走る。両涙小管の内側端が合わさって長さ0.8~2.2mmの短い共通の集合管を形成し、これが涙嚢に注ぐ場合(図658(右側涙器の図解))と、両涙小管が涙嚢の小さい陥凹部に別々に注ぐ場合がある。

涙小管の始まりの部分は特有の鉛直方向の走行を示す。上のものは上方へ、下のものは下方へ走る。この鉛直部分とそれに続く水平部分は、成人では弓状に移行しているが、胎児では両部分の境界が鋭い屈曲を示す。涙小管は涙点で広い開口部をもって始まり、その後急激に狭くなるため、ロート状の形態を呈する。ロートの狭窄部を過ぎると、凸側に憩室形成を伴う著しく広い部分がある。この部分を涙小管膨大Ampulla ductuli lacrimalisといい、内径は1mmである。続く水平部分は長さ6~7mmあり、内側に向かって徐々に狭くなり、最終的に集合管(または直接涙嚢)に注ぐ箇所では0.3mmの太さとなる。内眼角から下涙乳頭までの距離は6.5mm、上涙乳頭までは6mmで、下涙小管の方がやや長い。閉眼時、下涙乳頭は上涙乳頭の外側に位置する。両乳頭の先端はやや後方を向き、同時に上のものは下方を、下のものは上方を向いている。

微細構造:涙小管の上皮は10~12層の細胞からなる重層扁平上皮で、厚さは120µmである。最深層は円柱状の細胞で、浅層の細胞は扁平である。

粘膜固有層は主に輪走する弾性線維網を豊富に含む結合組織からなる。上皮と固有層の間には微細な鋸歯状の基底膜がある。乳頭部Pars papillarisの固有層は比較的密な構造を持ち、瞼板組織に連続してその性状を示す。固有層は涙小管の水平部では縦またはらせん状に走る横紋筋束を伴い、鉛直部では輪走する横紋筋束を持つ。これらの筋束は眼輪筋の一部である。眼輪筋には涙骨の後涙嚢稜およびその後方から2層をなして起こる部分があり(その発達程度は一定でない)、これを眼輪筋の涙嚢部Pars lacrimalis m. orbicularisと呼ぶ。涙小管周辺の筋肉はこの涙嚢部の一部である。