RK683(頭蓋骨の板間静脈)

頭蓋骨の静脈である板間静脈は、頭蓋円蓋内で骨の海綿質中に網状に広がる小幹として存在する。その根は内板と外板に達し、細かい網を形成して内外の骨膜静脈と連絡する。板間静脈の根は頭蓋外表面の静脈や脳硬膜の静脈、血液腔に終わる。これらの小幹は個々の骨の境界を越えて走行し、未融合の骨では複数の骨にまたがることもある。

通常、前頭部と後頭部にはそれぞれ各側に1本の小幹があり、頭蓋側方壁には2〜3本の小幹が認められる。その走行パターンには個体差があり、同一個体の左右でも若干の違いがみられる。

板間静脈は以下のように分類される:

  1. 前頭板間静脈V. diploica frontalis:前頭部の正中線付近を下行し、前頭静脈と上矢状静脈洞に開口する。
  2. 前側頭板間静脈・後側頭板間静脈 V. diploica temporalis anterior et V. diploica temporalis posterior: 前者は深側頭静脈の一本と蝶頭頂静脈洞に開口する。後者は乳突導出静脈を経て耳後部の静脈および横静脈洞に開口する。中側頭板間静脈V. diploica temporalis mediaが存在する場合、これは前頭骨と頭頂骨の境界付近に位置し、多くは上錐体静脈洞と連絡する。
  3. 後頭板間静脈V. diploica occipitalis:後頭静脈あるいは横静脈洞に直接流入するか、後頭導出静脈を介して後頭静脈と静脈洞交会の両方に開口する。

これらの板間静脈は相互に吻合することがあり、前頭板間静脈と前側頭板間静脈、あるいは前・後または前・中・後の側頭板間静脈が合流したり、左右の後頭板間静脈が単一の幹を形成したりすることで、全体の幹の数が減少することも珍しくない。

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[図683]頭蓋骨の板間静脈。外板を除去して板間静脈を露出。1. 冠状縫合、2. 人字縫合、3. 頭頂側頭縫合、4. 前頭板間静脈、5. 前側頭板間静脈、6. 中側頭板間静脈(蝶形骨大翼後端に進入)、7. 後側頭板間静脈(乳突孔で終止)、8. 後頭板間静脈