頭蓋骨の静脈である板間静脈は、頭蓋円蓋内で骨の海綿質中に網状に広がる小幹として存在する。その根は内板と外板に達し、細かい網を形成して内外の骨膜静脈と連絡する。板間静脈の根は頭蓋外表面の静脈や脳硬膜の静脈、血液腔に終わる。これらの小幹は個々の骨の境界を越えて走行し、未融合の骨では複数の骨にまたがることもある。
通常、前頭部と後頭部にはそれぞれ各側に1本の小幹があり、頭蓋側方壁には2〜3本の小幹が認められる。その走行パターンには個体差があり、同一個体の左右でも若干の違いがみられる。
板間静脈は以下のように分類される:
これらの板間静脈は相互に吻合することがあり、前頭板間静脈と前側頭板間静脈、あるいは前・後または前・中・後の側頭板間静脈が合流したり、左右の後頭板間静脈が単一の幹を形成したりすることで、全体の幹の数が減少することも珍しくない。
[図683]頭蓋骨の板間静脈。外板を除去して板間静脈を露出。1. 冠状縫合、2. 人字縫合、3. 頭頂側頭縫合、4. 前頭板間静脈、5. 前側頭板間静脈、6. 中側頭板間静脈(蝶形骨大翼後端に進入)、7. 後側頭板間静脈(乳突孔で終止)、8. 後頭板間静脈