https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
基本構造と機能
関節面の特徴
解剖学的変異
距骨は足根の円蓋の要石をなし、体重を脛骨から受けてこの円蓋に伝える。距骨の長軸は前内側に向いている。遠位端は距骨頭Caput taliという1つの関節頭になっており、これは細くなった距骨頚Collum taliによって距骨体Corpus taliから突出している。外側へは外側突起Processus fibularis taliが出ている。また後方へは近位突起Processus proximalis taliが出ており、これは長母指屈筋腱溝Sulcus tendinis m. flexoris hallucis longiという溝によって内外の2結節に分けられる。そのうち内側の内側結節Tuberculum tibialeと呼ばれるものの方が外側の外側結節Tuberculum fibulareより小さいことが多い。
下腿の骨との結合部をなす関節面は距骨滑車Trochlea taliと呼ばれる滑車をなしており、ここに1つの近位部と2つの側方部とが区別される。前者は近位面Facies proximalisと呼ばれ、矢状方向には円い凸面をなし、横方向には左右両縁が少し高くなって中央がややへこんでいる。そして近位部より遠位部の方が幅が広い。次に側方の関節面は脛側踝面および腓側踝面Facies malleolares tibialis, fibularisと呼ばれ、三角形で腓側踝面の方が脛側踝面より広い。距骨頭の関節面は球状で、舟状骨関節面Facies articularis navicularisをもって舟状骨の関節窩に接し、踵舟靱帯関節面Facies articularis pro ligamento calcaneonaviculariをもって踵舟靱帯の上に接している。距骨は下面の関節面によって踵骨と結合している。すなわちここには遠位・中および近位踵骨関節面Facies articularis calcanearis distalis, media, proximalisの3つがあって、踵骨のこれに対応する関節面に接する。中および近位の両関節面のあいだには、外側へ広くなっている1本の深い溝があって距骨溝Sulcus taliと呼ばれ、これと対応する踵骨溝Sulcus calcaneiとともに足根洞Sinus tarsiを形成する。
遠位および中踵骨関節面はしばしばつながりあっており、その場合にはFacies articularis calcanearis distalis bipartita(二分遠位踵骨関節面)と呼ばれる。
距骨の近位突起の(たいてい大きい方の)腓側結節が、あるいはこの結節の一部だけが、時おり体から分離して足根の1独立骨をなすことがある。これはかなり古くから知られたもので、v. BardelebenによってOs trigonum(三角骨)と名づけられた。Stieda(Anat. Anz., 4. Bd., 1889)によれば、この骨は成人で約6%に認められるという(足立によれば日本人で約8%に認められる)。中間骨Intermediumに相当するものと考えられたが、そうではなく近位突起自身の突出した部分(Apophyse)が独立するに至ったものである(Hasselwander, Z. Morph. Anthrop., 18. Bd., 1914およびZ. Konst., 8. Bd., 1921)。