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漿膜の表面は上皮で覆われています。その下層には線維性結合組織があり、ここでは線維束が平面的に広がり、互いに交差しています。さらに弾性線維が加わっています。上皮と線維性結合組織の間には、薄くてガラスのように透明な基底膜があります。上皮は薄く扁平で、内皮細胞(第1巻のRK053(ヒトの大網における腹膜上皮)、054(重層扁平上皮) 参照)と外観的によく似た細胞からなっています。これらの細胞が1層を形成し、隣接する細胞の角の間に小さな隙間(小口、Stomata)が散見されます。漿膜下組織(Tela subserosa)の発達は部位によって様々で、漿膜とその下層部分を結合していますが、その可動性は場所により異なります。また、部位によっては漿膜に豊富な筋線維が存在します。血管は少ないものの、毛細血管網が上皮層に接するまで達しています。リンパ管は漿膜下組織にかなり太い幹が見られ、リンパ管の密な網も存在します。神経線維は少数です。
RK053(ヒトの大網における腹膜上皮)、054(重層扁平上皮)
漿膜のうち、内臓を覆っている部分は臓側板(Lamina visceralis、viscerales Blatt)と呼ばれ、内臓を収める腔の内面を覆っている部分は壁側板(Lamina parietalis、Parietales Blatt)と名付けられています。
漿膜で囲まれた腔の内容物は少量のリンパ性液体で、通称「seröse Flüssigkeit」(漿液)と呼ばれます。これは少数のリンパ球を含み、漿膜の表面を滑らかにする役割を果たしています。漿液の排出はリンパ管系の小口(Stomata)を通じて行われ、特に横隔膜の腹腔側表面で顕著に観察されます。
漿膜が形成するひだや隆起は漿膜ヒダ(Plica serosa)と呼ばれます。その一部は特別な名称を持っています(網、Gekröse、Netz)。