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目次(VI. 感覚器)

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解剖学的特徴

滑車の構造

解剖学的変異

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図660(両側の眼窩内の諸筋を上方からみる)

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図662(左眼窩の眼瞼板、上眼瞼挙筋腱、上下斜筋を前方から剖出した図)

上[眼球]斜筋は諸直筋が起こる総腱輪の外側から、視神経管の前および内側、そして眼窩骨膜と視神経の硬膜鞘から起始する。眼窩の上内側隅で内側直筋の上を前進し、滑車小窩の近くで腱性となって滑車Trochlea, Rotteに達する。ここで円形の断面を持つ腱が滑車を通過し、鋭角をなして後外側へ方向を転じて眼球へ向かう。腱は扁平に広がり、眼球と上直筋との間に入り込んで眼球に達する。付着部は眼球上半の赤道より後方にあり、角膜縁から18mmの位置である。滑車通過後の腱の長さは19.5mmで、付着線は斜走する。

滑車は上斜筋の腱を受ける鞍形の硝子軟骨であり、長さ約6mm、幅4mmである。短い線維束群によって滑車小窩Foveola trochlearis(または滑車棘Spina trochlearis)および眼窩口縁の骨膜に固定されている。上斜筋の腱は滑車軟骨の鞍状面上を後方から前方へ走行し、方向を転換する際に滑車滑液鞘Vagina synovialis trochleaeに包まれる。滑車通過後の腱は特に強固な結合組織鞘で保護されている。

**変異:**上斜筋から明確に分離した1筋束が(左眼窩において)「かなり顕著な腱として上斜筋の起始部から発し」滑車保持線維に付着する例が報告されている。同一個体(ヨーロッパ人)の右眼窩でも、より軽度ながら同様の変異が確認された。Fujita, Folia anat. Japonica 1938.