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陰茎の皮膚は亀頭頚まで単層の被覆である。そこから亀頭表面から離れて管状のひだを形成し、亀頭上で折り返る。これを包皮(Praeputium, Vorhaut)と呼ぶ(図266(男性骨盤の正中断面))。このひだの内側膜は亀頭頚の後方で亀頭被覆に移行する。
亀頭では皮膚が陰茎に密着し、外尿道口まで前方に続く。ここで尿道粘膜と直接つながり、外尿道口後方では包皮小帯を形成する。
陰茎体の皮膚は非常に薄く、脂肪を含まない。陰茎根以外は無毛で、非常に滑らかに動き、暗色調を呈する。包皮の前方開口、すなわち包皮口(Orificium praeputii)を囲む包皮自由縁では、皮膚の性状が変化し、粘膜様となる。薄く柔らかくなり、赤みを帯びる。亀頭先端の尿道面から包皮小帯前方で、1本の縫合線が包皮内側面の正中線上を走り、陰茎、陰嚢、さらに会陰の皮膚に続く。これを陰茎縫線(Rhaphe penis)という。
Henneberg(Verh. anat. Ges., 1912)によると、陰茎縫線は胎児および新生児ではほぼ常に存在する。成人では約90%で欠如している。陰茎根から包皮まで達する縫線は3%に、陰茎縦軸の中央部まで達するのは5%に見られた。陰嚢縫線は成人でより頻繁に見られるが、すべての場合に存在するわけではない。
亀頭頚と亀頭冠周囲、および包皮内側膜には様々な形状と大きさの脂腺がある。これを包皮腺(Glandulae praeputiales [Tysoni])という。単純な小窩から複雑なブドウ状のものまであり、包皮小帯周囲に最も多く存在する。その分泌物は包皮垢(Smegma praeputii)の成分の一つである。包皮垢の主成分は対向する皮膚面から脂肪化して脱落した上皮細胞からなる。亀頭表面前方には腺がなく、皮膚には微細なしわと多数の敏感な乳頭が存在する。
陰茎の皮下組織は疎で、周囲の皮膚皮下組織および陰嚢の肉様膜と連続している。その内方には比較的硬い結合組織層、すなわち陰茎筋膜(Fascia penis)がある。これは陰茎海綿体全体を包み、それらを一つに結合する役割を果たす。
陰茎皮膚の血管には浅層と深層があり、それに対応してリンパ管も浅層と深層に区別される。浅層リンパ管は皮下陰茎背静脈とともに陰茎筋膜外側を走り、深層は筋膜下陰茎背静脈とともに筋膜下を走行する。