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脊髄の前正中裂(Fissura mediana ventralis)は、延髄への移行部で錐体交叉の影響を大きく受ける(図409(脳底) )。錐体交叉(Decussatio pyramidum、Pyramidenkreuzung)は長さ6~7mmで、延髄表面に見えることもあれば、深部に隠れていることもある。各側3~5本の束からなり、これらが正中線で交叉し、脊髄の灰白柱の一部を貫いて側索に達し、脊髄の外側皮質脊髄路となる(図405(脊髄における種々の伝導路の領域を示す(模型図)) )。通常、延髄の錐体路線維の一部、特に外側のものは交叉せずに脊髄の前皮質脊髄路に続く。橋に接する部分で前正中裂は広がり、盲孔(Foramen caecum)という小さなくぼみを形成する(図408(脳の正中断面) )。
延髄の後正中溝(Sulcus medianus dorsalis)は、横走する髄質の小片、すなわち閂(カンヌキ、Obex、Riegel)によって閉じられて終わる(図421(菱形窩の表面像) )。
延髄の後中間溝(Sulcus intermedius dorsalis)は脊髄の同名溝の続きで、オリーブのほぼ中央の高さで消失する。
後外側溝(Sulcus dorsolateralis)は脊髄から延髄へと続き、上部では側方に偏位し、オリーブのやや後方を通って第四脳室外側陥凹(Recessus lateralis ventriculi quarti)の下方境界に達する。この溝から舌咽神経、迷走神経、副神経が出る。
延髄の前外側溝(Sulcus ventrolateralis)では、第12脳神経(舌筋の運動を支配する舌下神経)の根線維束が表面に現れる。この溝と脊髄の同名溝とのつながりは、前外弓状線維(Fibrae arcuatae externae ventrales)という強い帯状の線維群によって時に中断されることがある。