表面層の筋線維は、線維輪と大血管の起始部から斜めに右上方から左下方へ走り、左右の心室を横断する。心尖部では線維束がらせん状に集束し、心渦(Vortex cordis)という明瞭な渦巻構造を形成する。これらの線維は内部へ湾曲して上昇し、内側壁を構成する。この内壁には肉柱や乳頭筋が存在する。

二つの縦走層の間には、発達した板状の輪走筋層がある。これは左右の心室それぞれに固有のものだが、内外両面の縦走層と連結している。Cruveilhierの説明によれば、心室筋の構造は次のように表現できる:心臓の筋肉は2つの袋からなり、それらが第3の袋の中に共に挿入されているようなものである。

心室中隔も3層の線維束から構成され、1層は右心室に、1層は左心室に属し、中央層は左右の心室に共通である。

心筋線維の走行に関する比較解剖学的研究はBenninghoffが行っている(Morph. Jhrb., 67. Bd, 1931)。