https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(III. 脈管系)

funalogo.gif


(RK677(**膝窩と下腿の動脈(右):**後方からの図)RK679(足底の動脈) )

この動脈は下腿の後面を破裂靱帯まで下行し、そこでこの靱帯と母指外転筋の起始部に覆われ、内側足底動脈A. plantaris tibialisと腓側足底動脈A. plantaris fibularisに分岐する。

**局所解剖:**後脛骨動脈は上方では脛骨と腓骨のほぼ中間に位置するが、下方では内側に偏位し、下腿深層の3つの屈筋と下腿筋膜深層によって形成される管内に入る。上方では非常に深部に位置し、後方からヒラメ筋・足底筋・腓腹筋に覆われている。下方ではより表層に位置し、脛骨踝の後方では2枚の筋膜葉と皮膚のみに覆われている。ただし、アキレス腱の下端部との間は下腿筋膜の両葉間にある豊富な脂肪組織によって隔てられている。

足関節の後方では、この動脈と脛骨踝との間に後脛骨筋と長指屈筋の腱があり、長母指屈筋の腱はこの動脈の外側に位置する。後脛骨動脈は2本の静脈を伴走する。脛骨神経は下腿上部ではこの動脈の内側にあるが、下行するにつれてその外側に移行する。

**神経:**下腿骨間神経と脛骨神経による。

この動脈は多数の筋枝に加えて、以下の枝を分岐する:

a) 腓骨枝R. fibularis:膝窩動脈の分岐部で分かれ、腓骨小頭の下方を前方に進み、膝関節動脈網に至る。

b) 腓骨動脈A. fibularis:膝窩筋より2~3cm下方で始まり、斜めに腓骨方向へ進む。この骨に沿って下行し、その大部分が長母指屈筋に覆われる。腓骨踝の下方で腓骨踵骨枝Rami calcaneares lateralesに終わり、この枝は踵骨の外側と後側部分に分布する。

**神経:**脛骨神経による。

腓骨動脈は多数の筋枝のほかに、以下の枝を分岐する:

α. 腓骨栄養動脈A. nutricia fibulae

β. 穿通枝R. perforans:腓骨踝より4~6cm上方で始まり、すぐに骨間膜を貫く。その後、下腿と足根骨の前面を下方に進み、足背動脈網に入る。

γ. 交通枝R. communicans:脛骨踝と腓骨踝の上縁で、屈筋群の腱に覆われて脛骨の後方を横走する。後脛骨動脈の同様の小枝と弓状に吻合し、2つの幹の横のつながりを形成する。その数は1本とは限らず、複数存在することがある。

δ. 後腓骨踝動脈A. malleolaris fibularis posterior:細い枝で、しばしば交通枝から分岐し、腓骨踝動脈網に至る。

ε. 腓側踵骨枝Rr. calcaneares fibulares:一部は腓骨踝に分布するが、主に踵骨の外側部分に至る。

c)脛骨栄養動脈A. nutricia tibiae:後脛骨動脈の起始部から分岐し、脛骨の後面に沿って走行する。小枝を諸筋に与えながら、脛骨の栄養孔に至る。

d)後脛骨踝動脈A. malleolaris tibialis posterior:脛骨踝のすぐ下で前脛骨踝動脈に向かって進む。

e)内側踵骨枝Rr. calcaneares tibiales:踵の内側面に至り、腓側踵骨枝とともに踵骨動脈網Rete calcaneareを形成する。