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精巣の白膜は精巣上体頭の高さで12〜15本の輸出小管(Ductuli efferentes)によって貫かれている。これらの輸出小管は精巣上体頭に進入し、その一部を形成する(図308(精巣および解剖された精巣上体)、309(精巣と精巣上体の構造模型図))。
精巣網から出た輸出小管は当初まっすぐだが、精巣上体頭に近づくにつれて次第に強くうねり、精巣上体小葉(Lobuli epididymidis)を形成する。これらの小葉は円錐形で、一列に並んでいる。円錐の底は精巣上体頭に、尖端は精巣に向いている。精巣上体小葉は精巣小葉と反対の位置にあり、両者はそれぞれの基底面を反対に向け、尖端を互いに向け合わせている。これら二つの小葉が接する部分に精巣網が形成される。
精巣上体小葉の中で最大のものは約12mmの長さで、1本の管が複雑に絡み合ってできた輸出小管円錐(Conus vasculosus)から成る。この管の長さは16〜20cmに及ぶ。最上方の輸出小管が屈曲する箇所から精巣上体管(Ductus epididymidis、Nebenhodengang)が始まる。この管は多数の蛇行を繰り返しながら、途中で途切れることなく下方へ走る(図308(精巣および解剖された精巣上体)、309(精巣と精巣上体の構造模型図))。精巣上体管は2〜10cmの間隔で全ての小葉の端と合流するが、管自体が強く蛇行しているため、各円錐の開口部は互いに接近している。この蛇行した状態のまま、精巣上体管は精巣上体の体部と尾部へと続く。体部と尾部はこの蛇行した精巣上体管のみから構成されている。
一方、精巣上体の頭部は主に輸出小管、精巣上体小葉、および精巣上体管の頭部から構成されている(図308(精巣および解剖された精巣上体)、309(精巣と精巣上体の構造模型図))。
精巣上体管を引き伸ばして蛇行を解くと、その長さは5〜6mに達する。
精巣上体管の初めの直径は0.5〜0.4mmで、これは円錐形部分のうねっている管の直径と等しい。尾部に向かって初めは管が細くなって約0.3mmになる。その後、次第に太くなり、うねりも少なくなり、太い精管に移行する。精管の始まりの部分はまだうねっている。
精巣上体には様々な変化を示す迷小管(Ductuli aberrantes)がある。古くから知られているのは、通常6〜8cm、時には20cm以上にも達する比較的太い盲管で、時に分枝しており、精巣上体管の下部にあるうねった付属物である。同様の盲管が精巣上体の頭部にあることもまれではない。これも上述の付属物と同じく巻き込んで小さな1小葉を形成している。近年、Rothは精巣網にも迷小管を見出した。この迷小管は単一または重複しており、常に精巣網とつながっている。そこでは輸出小管と同じ幅を持ち、多くの場合、精巣上体頭に向かって盲端で終わる際に広がっている。この管の内側は線毛を持つ円柱上皮で覆われている。
微細構造:輸出小管は不規則な角を持つ横断面を有し、補充細胞および群をなす粘液細胞を持つ線毛円柱上皮からなる。上皮の外側には繊細な条を持つ基底膜と、精巣網の筋束につながる輪走筋層がある(図310、311)。精巣上体管の構造はこれとは全く異なる。横断面は円形で、上皮は丈の高い長い円柱細胞からなり、不動毛の束が管腔に向かって突出している(Fuchs)。細胞の基底部の間には基底細胞がある(図312)。上皮の外側には薄い基底膜と、よく発達した平滑筋の輪走線維が接している。円錐部を形成する輸出小管および精巣上体管のうねっている部分は、結合組織の繊細な束でまとめられている。また、個々の輸出小管円錐の間にはかなり多量の結合組織がある(図310)。
迷小管(Ductuli aberrantes)と精巣傍体(Paradidymis)は結合組織の壁からなる細い管で、内面は丈の低い線毛上皮で覆われている。精巣上体垂(Appendix epididymidis)は丈の低い円柱上皮を持つ。精巣垂(Appendix testis)は血管に富む結合組織からなる充実性の器官で、線毛円柱上皮で覆われている。この上皮は表面のいくつかの窪みにも入り込んでいる。また、精巣垂が中空であることもあり、その場合は内腔が線毛上皮で覆われている。
生理作用:精巣上体は古くから精子の集積所として知られている。しかし、分泌器官でもあり、その上皮は特殊な分泌物を産生している。
(Hammar、Fuchs、v. Lanzなど)。しかし、v. Möllendorfによると、精子が浮遊している液体は精巣で生成され、この液の一部が精巣上体管の上皮細胞によって吸収されるという。Wagenseilは、この吸収は確実に起こるが、分泌もほぼ間違いなく行われると述べている。
Hammar, J. A., Arch. Anat. Phys., 1897 - Fuchs, H., Anat. Hefte, 19. Bd., 1902. - Wagenseil, E., Z. Zellforsch., 7. Bd., 1928 - v. Lanz, Wallraff, Handfest und Wimmer, Z. mikr.-anat. Forsch., 37. Bd., 1935.
[図308] 左精巣および解剖された精巣上体(×1倍)
[図309] 精巣と精巣上体の構造模型図
[図310]精巣上体の頭部横断図(27歳男性)