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図627(ヒトの網膜色素上皮層)、628(ヒトの網膜色素上皮層の細胞)、629(杆状体と錐状体の横断面)
網膜色素上皮層は色素を持つ単層の上皮細胞からなる。平面で見ると、各上皮細胞は多角形で、核以外の細胞体は色素粒子で満たされ、隣接細胞とは明るい線で区切られている(図627(ヒトの網膜色素上皮層)、628(ヒトの網膜色素上皮層の細胞)、629(杆状体と錐状体の横断面) )。細胞は主に6角柱状で、稀に4~5角や7~9角の柱状を呈する。細胞底面の直径は12~18µmで、最大の細胞は網膜色素上皮の辺縁に位置する。側面や断面では、この細胞が小棒をもつ上皮(Stäbchenepithelien)に属し、かなりの高さを持つことがわかる(図627(ヒトの網膜色素上皮層)、628(ヒトの網膜色素上皮層の細胞)、629(杆状体と錐状体の横断面) )。細胞の脈絡膜接触部には色素がなく、その上部との境界に楕円形の明るい核がある。さらに上部は色素を多く含み、そこから色素を持った多数の細い突起(小棒や「まつ毛様の糸状突起」)が出て、網膜の杆状体や錐状体の間を外境界層近くまで伸びている。色素粒子は棒状で長さ1~5µmである。色素(フスチンFuscinと呼ばれる)は褐色で、水・アルコール・エーテルに不溶。この色素は酸素存在下で光により退色する。光刺激で多くの色素粒子が小棒を伝って網膜外境界層まで移動するが、暗所では細胞体に戻る。
細胞体の側面と基底面は小皮性のケラチン膜(Keratinhülle)で覆われている。隣接細胞間の明るい線(図627(ヒトの網膜色素上皮層)、628(ヒトの網膜色素上皮層の細胞)、629(杆状体と錐状体の横断面) )は、この小さな鉢か帽子のような小皮性被覆によるものである。