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RK626(ヒス束の本幹と右脚)

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RK627(ヒス束の左脚)

心臓の刺激伝導系は洞房結節、房室結節(田原結節)、およびヒス束から構成される。

房室束(ヒス束)Fasciculus atrioventricularis(Hissches Bündel)は幅の狭い筋肉の束である。Hollによると、冠状静脈洞を囲む壁と、右心房(おそらく左心房も)の冠状静脈洞に近い部分から非常に細い線維束として起こる。これらの線維群が網を形成し、房室結節(田原結節)を作る。この結節Nodusからヒス束のTruncusが心室中隔の筋性部上縁の右側を前方に進み、心室中隔の膜性部下縁に沿って走行する。膜性部の前縁で右脚Crus dextrumと左脚Crus sinistrumに分岐する。左右の脚は心室中隔の左右表面を内膜下に密接して走り、左右心室の乳頭筋に至り、そこで内膜下に網を形成する。

ヒス束の筋線維には神経線維や神経細胞が伴っている。

右心房壁には、田原結節と類似した構造を持つ5mm長の結節がある。これは分界溝、すなわち右心耳と大静脈洞の境界に位置する。この結節を洞房結節Nodus sinuatrialis、Sinusknoten、またはキース・フラック結節Keith-Flackscher Knotenと呼ぶ。洞房結節と田原結節の連結は現時点で明確には解明されていない。

ヒス束は心房と心室の筋肉を直接連結する唯一の構造である。

ヒス束の右脚は円に近い横断面を示し、まず右側の中隔壁を走行する(Holl)。次に中隔縁柱で前方に凸の弧を描きながら、内膜下を様々な深さで通過し、前乳頭筋の基部に到達する。小さな枝が内側に分岐して小乳頭筋に至る。

左脚は帯状で、細い線維に分かれている。左側の中隔壁を心尖方向に走り、徐々に幅が広がる。中隔の半分の高さに達するまでに前、中、後の3枝に分岐する。中枝は心尖に向かい、前枝は左乳頭筋の基部に、後枝は右乳頭筋の基部に至る。

Tawara. S., Das Reizleitungssystem des Säugetierherzens. Jena 1906 — Keith und Flack, Journ. anat. physiol., 41. Bd., 1907 — Holl, M., Denkschriften der Akad. Wiss. Wien, 87. Bd., 1911.